土俵入り

土俵入り（どひょういり）

大[[相撲]]において、土俵入りは十両以上の力士が重要な儀式として土俵の上で行う入場の一環です。特に、横綱によって行われる土俵入りは「横綱土俵入り」として際立ち、他の力士の入場とは異なる特別なものです。

概要

土俵入りは、十両と幕内の力士がそれぞれ、取組の開始前に行います。十両土俵入りは幕下の取組が5番残った時点、すなわち午後2時30分ごろに始まり、幕内土俵入りは十両の取組が終了した直後の午後4時ごろに行われます。かつては、十両土俵入りも幕下の取組が終わった後に実施されていました。

力士が取組で東方または西方から上がる際には、その配列に従って土俵入りを行います。たとえば、東大関としての取組が西方からの場合、土俵入りも西方から行います。また、十両力士が幕内で取組を行う場合でも、土俵入りは自己の番付に従い、十両土俵入りの時に行われます。

化粧廻しを着用した力士は、花道奥に集まり、行司が先導役となり、番付の低い順に土俵へ上がります。各力士は土俵に沿って円形に並び、先導行司は土俵入りの際、その役割に応じた格の行司が務めます。具体的には、十両土俵入りは十両格行司が、幕内土俵入りは原則として幕内格行司が行うのが基本ですが、横綱の土俵入り状況に応じて三役格の行司が先導する場合もあります。

土俵入り中、行司は力士の名前や出身地、所属部屋を紹介します。また、三役（横綱、大関、関脇）の力士は必ず地位を呼ばれます。全員が土俵上に揃うまで各力士は外側を向いており、最後の力士が上がる際に内側に向き直ります。この後、全員が揃うと拍手をし、右手を挙げたり化粧廻しをつまんだりする一連の所作を行います。この動作は、四股とせりあがりを簡略化したもので、特にその意味は「武器を持っていません」の象徴です。近年ではこの動作が高らかに行われる傾向にあります。

土俵入りでは、力士が「シィー」と声を上げる「警蹕（けいひつ）」という伝統的な所作も存在します。これには観客に対する静粛のお願いの意味が込められていますが、2000年代に一時消失してしまいました。しかし2012年から幕内土俵入りに再び見ることができるようになりました。

歴史と変遷

土俵入りの様式自体は、江戸時代の錦絵にその姿が残されていますが、当時は幕内力士の数が少なく、四股を踏みながら土俵に上がることが可能でした。しかし、現在では十両でも12人から16人、幕内では20人前後の力士が一度に土俵入りするため、以前のスタイルでは対応できず、現在の簡略化された形式に改められました。また、1965年からは土俵入りの形式が観客の視点を重視したものに変更され、外を向く形に整えられました。

さまざまなエピソードの中には、1932年に起こった「春秋園事件」後、協会が力士数を安定させるために、全力士が土俵入りを行う「入場式」を実施した事例や、1965年の幕内土俵入り改変時に行司が逆回りで土俵入りを行ってしまうエピソードなどがあります。

特別な土俵入り

天覧相撲など特別な場面では、「御前掛（ごぜんがかり）」と呼ばれる独特な土俵入りが行われます。力士が並ぶ際は正面を向いて行い、形式も通常とは異なります。江戸時代には、一人土俵入りというふうに異様に大きな青年が土俵入りを行うこともあり、その姿は錦絵に残されています。

近年でも、花相撲などのイベントにおいて、負傷している力士が土俵入りに参加することがあります。このように、土俵入りは大[[相撲]]の中での重要な儀式的要素であり、今もなおその形を保ちながら、力士たちの精神を象徴するものとして受け継がれています。

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