悲鳴伝

悲鳴



悲鳴伝』(ひめいでん)は、西尾維新による長編小説で、講談社ノベルスから刊行されました。後に伝説シリーズの第一弾として位置づけられ、「西尾維新史上、最長巨編」「最長巨編にして、新たなる英雄譚」というキャッチコピーがつけられています。原稿用紙千枚にも及ぶ大作で、挿絵はありませんが、光谷理作画による漫画版も存在します。

あらすじ



2012年10月25日午前7時32分、「大いなる悲鳴」と呼ばれる謎の災害が発生し、世界人口の3分の1が命を落としました。それから半年後、2013年5月27日、主人公の空々空(そらから くう)は、自身の感情の欠如に苦悩しながら飢皿木診療所を訪れます。そこで彼は、地球撲滅軍という組織から、「人類を滅ぼそうとする地球と戦うヒーローになってほしい」と勧誘されます。空々は、地球の脅威に対抗する戦いに身を投じていくことになります。

主な登場人物



空々空(そらから くう)



本作の主人公である13歳の少年。感情が欠落しており、周囲にはそれを隠すために演技をしています。地球陣の正体を見ても動じない特異な性質から、地球撲滅軍にスカウトされます。

グロテスク: 空々に支給された透明化ボディスーツ。3時間でバッテリー切れとなり、防御力はありません。
実検鏡: 空々に支給されたゴーグル地球陣を見破ることができます。

剣藤犬个(けんどう けんか)



地球撲滅軍第九機動室の隊員で、空々の身の回りの世話を担当する少女。16歳の時に「小さき悲鳴」による攻撃から唯一生き残った過去を持ちます。

破壊丸: 剣藤に支給された大太刀で、全自動で対象を斬りつけます。

牡蠣垣閂(かきがき かんぬき)



地球撲滅軍第九機動室の室長。紳士的な態度ですが、剣藤を「失敗した英雄」と呼ぶことがあります。存在感を薄くする紅茶を愛飲しています。

花屋瀟(はなや しょう)



地球撲滅軍第九機動室の副室長で、空々の幼馴染。小学生の頃に撲滅軍と関わりを持ち、自ら入隊しました。

虐待太郎: 花屋が使用する武器。刀身だけでなく影も見えないため、間合いの把握が困難です。

氷上法被(ひがみ はっぴ)



地球撲滅軍第九機動室の隊員。元放火魔で、体内に超高温の人工血液が流れています。感情が高ぶると火柱を放つことができ、その能力は天候すら変えられるほどです。

炎血: 氷上の体内に流れる人工血液。

左在存(ひだり ざいぞん)



地球撲滅軍第九機動室の隊員。普段は犬の姿をしていますが、実は9歳の少女。母親の改造手術によって「犬化」し、擬態能力を得ました。首輪型の精神感応装置を身につけています。

共鳴環: 在存が身につけている首輪。近くにいる人の気持ちを理解することができます。

瀬伐井鉈美(せきれい なたみ)



地球撲滅軍第九機動室の隊員。政界とのつながりが強く、国政に影響力を持っています。

切断王: 瀬伐井に支給された手斧。投げると対象に必ず命中します。

了城娯也(りょうじょう ごや)



地球撲滅軍第九機動室の運転手。

刑車両: 娯也に支給されたリムジン

落雁ギリー(らくがん ぎりー)



地球撲滅軍開発室の広報担当。

飢皿木鰻(きさらぎ うなぎ)



飢皿木診療所の所長で、地球撲滅軍の協力者。空々の特異な性質を見抜き、花屋の心の支えとなりました。

用語



地球



本作における地球は、独自の意思を持ち、人類と敵対しているという設定です。人類は過去に優勢でしたが、「大いなる悲鳴」により劣勢に立たされています。

大いなる悲鳴



2012年10月25日に発生した、世界規模の悲鳴。この現象により、世界人口の3分の1が死亡しました。生存者と死亡者の間には明確な違いはなく、人間以外の動植物には影響がありません。

小さき悲鳴



「大いなる悲鳴」以前から確認されていた局地的な悲鳴。致死率が100%でしたが、剣藤は例外的に生き残りました。

地球



地球が人類社会に送り込む怪人。外見は人間と変わらず、正体を見破るには特殊な技術が必要です。しかし、その技術は見る者の目を潰すため、これまで有効に活用されていませんでした。

地球撲滅軍



人類を保護するために地球に対抗する組織。日本政府からのバックアップを受けており、世界中に類似組織が存在します。

第九機動室



地球陣の排除を専門とする部署。前線での活動が多く、室長は牡蠣垣閂です。

不明室



地球撲滅軍の深部に存在する謎の部署。改造実験などが行われているとされています。

既刊一覧



小説



西尾維新悲鳴伝』 講談社講談社ノベルス〉、2012年4月26日発売、ISBN 978-4-06-182829-2
「文庫版」2022年10月14日発売、ISBN 978-4-06-529422-2

漫画



西尾維新(原作) / 光谷理(作画) 『悲鳴伝』 講談社〈ヤンマガKCスペシャル〉、全4巻
2016年5月6日発売、ISBN 978-4-06-382794-1
2016年12月20日発売、ISBN 978-4-06-382895-5
2017年6月20日発売、ISBN 978-4-06-382983-9
2018年1月19日発売、ISBN 978-4-06-510714-0

外部リンク



悲鳴伝』西尾維新講談社ノベルス

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