手相

手相とは

手相は、手のひらに刻まれた線（掌線）や肉付き、手の形などから、人の性格や才能、健康状態、運勢などを読み解く占いの一種です。手のひらは、その人の内面を映し出す鏡のようなものと考えられており、古くから人々の関心を集めてきました。手相は、単なる占いとしてだけでなく、自己理解を深め、より良い人生を歩むための一つのツールとして活用することもできます。

手相の歴史

手相の歴史は非常に古く、その起源は古代インドにまで遡ると言われています。仏教とともに中国へと伝わり、東洋の易学を取り入れながら発展しました。日本には、仏教とともに伝わったとされています。一方、古代インドから中東アジアやヨーロッパにも伝わりましたが、カトリック教会の教えに反するとされ弾圧を受け、19世紀頃まで普及することはなかったようです。現在では、西洋手相術、東洋手相術、さまざまな流派が存在します。

手相の見方

手相は、手のひらに刻まれた皺（しわ）である掌線や、手のひらの肉付き具合などを観察します。これらの形質から、性格や才能、運勢などを読み解くのです。手相は科学的な根拠を持つものではありませんが、迷える人々に示唆を与えたり、新たな着想のきっかけになることもあります。

人は、手を自分の意思で動かすことができ、その人の在り様を示す象徴的なものとしても扱われてきました。手の様相から、その人の性格や内面に関する情報を得られると考える人は少なくありません。この考え方を体系化したものが手相術です。ただし、個々の形質の解釈や意味付けが、どのような経緯で得られたのかについては、明確な文献は存在しないようです。手相と個人の気質や運勢との関連性は、実際の観察によるものなのか、神秘主義的な価値観によるものなのか、区別することは難しいでしょう。

手相を構成する要素は、短期間で変化するものではありません。そのため、手相による占いは、数年、数十年といった長期的な時間単位で捉えることが多いです。人生に関わる事柄（寿命、健康、進路、職業、結婚など）や、生まれ持った気質への言及が多く、短期的な運勢を占うことは稀です。近年では、韓国などで手相整形手術を行う美容外科も存在しますが、占い師の中には、自然な手の動きによって作られた手相ではないため、運勢は変わらないと考える人もいます。

主な観察項目

手相を見る際には、主に以下のような項目に着目します。

掌線: 手のひらに刻まれた線。生命線、知能線、感情線、運命線などが代表的です。
丘: 手のひらの盛り上がった部分。各指の付け根部分や、手のひらの小指側の辺縁部などがあります。
手の形: 角張った印象か、丸まった印象か、肉付きの厚いか薄いかなどをみます。
指の形: 角張った印象か、丸まった印象か、肉付きの厚いか薄いかなどをみます。
指の長さ: 手全体に対する長さの比率や、各指の長さの比率をみます。
爪の形: 爪の形や色合い、曲がりやすさなどをみます。

手相術では、これらの形質やその解釈・意味付けが流派や書籍・文献ごとに異なるため、必ずしも一定ではありません。

右手と左手

一般的に、男性は左手、女性は右手を重視する流派が多いです。左手は、先天的な運勢や過去の運勢、無意識などを表し、右手は、後天的な運勢や未来の運勢、意識的な思考を表すとされています。また、恋愛においては、左手は相手の思いを表し、右手は自分の思いを表すという解釈もあります。

手相占いの研究では、右手は左脳、左手は右脳と繋がっているという説や、利き手によって先天性と後天性の解釈が逆になるとする流派もあります。

手相に関する書籍や文献

手相に関する書籍は数多く出版されており、その内容も多岐にわたります。平易なものでは、手の特徴を個別に取り上げ、図示して分かりやすく解釈しているものもあり、手相占いの初心者でも比較的容易に観相を行うことができます。しかし、手相は複数の特徴から総合的に判断する必要があるため、全体的に見ようとすると、専門的な知識が必要になります。

また、「辻手相占い」のように、専門のサービス業態として成立している分野もあります。手相を占いの手段とするだけでなく、人生相談の糸口として活用する人もいます。

代表的な掌線

手相術で取り上げられている代表的な掌線とその解釈例を紹介します。ただし、これらの分類や解釈は唯一のものではなく、異説も存在することに注意が必要です。

生命線: 親指の付け根から手首に向かって弧を描く線。体力や生命力を表します。線の長さや濃さで、生命力の強弱を推測できますが、生命線が短いからといって短命とは限りません。また、生命線に現れる異常は、健康上の問題や生活環境の変化を示すこともあります。
知能線: 手のひらの中央に刻まれる線。知能や才能、資質を表します。線の向きによって、現実的な性質か、精神的な傾向かを読み解くことができます。また、知能線から生じた分岐線は、才能の開花を表す吉相とされています。
感情線: 性格や感情の傾向を表す線。感情線から生じる上向きの支線は明るい性格、下向きの支線は悲しみを表すとされます。特に恋愛や結婚に強い影響があると言われています。
運命線: 仕事上の運勢や家庭運を表す線。生じる場所や向かう方向によってさまざまな意味があります。太陽線を伴って初めて成功を表す相となります。運命線は、その年代が分かりやすい線のため、運勢上に生じるトラブルや災難の時期を見ることもできます。
太陽線: 成功運を表す線。運命線が明確であっても、太陽線がなければ成功はおぼつかないと言われています。逆に太陽線がある場合は、働かなくても生活できるような気楽な身分とも言われています。
健康線: 健康状態を表す線。明確に刻まれていたとしても、必ずしも健康である証拠ではありません。健康線の末端が生命線を切る場合は、大病の暗示とされています。無い方が健康とされる事もあります。
結婚線: 結婚や恋愛を表す線。小指と感情線の中間を基準に、結婚の時期を推測しますが、あくまで目安程度に捉えるべきでしょう。結婚線の状態から、恋愛や結婚がどのような状態になるかを把握することができます。何回結婚するかは分からず、結婚のチャンスが何回あるかが分かるとされています。
火星線: 生命力や活力を象徴する線。生命線の内側に並行して刻まれます。別名「第二生命線」とも呼ばれ、この線がある期間は、ねばり強く仕事に打ち込むことができると言われています。
財運線: 金運や経済力を象徴する線。小指の下に縦に刻まれます。別名「水星線」とも呼ばれます。小指と薬指の中間に刻まれる場合も、意味合いはほぼ同じです。
金星帯: 性的魅力や性格的魅力を象徴する線。芸術的な才能を持つ人にも多く見られます。
土星環: 運勢を宿命的に妨害する相。中指の下の丘「土星丘」を切り取るように存在します。哲学者タイプの奇人や変人に多いとされていますが、最近では、天才的能力を秘めているという見方もあります。
反抗線: 反抗的な気質や正義感の持ち主に現れる相。自分の意見をはっきり言え、納得のいかない事に対して抵抗する人に現れやすい。
希望線: 人生の目標を持つ人に現れる相。
人気線: 他人からの援助を表す相。月丘の下部に出る短めの縦線で、別名は「寵愛線」と呼ばれています。芸能人など、人に支えられることで成り立つ職業に向いています。
直感線: 直感力や霊感が強い人に現れる相。月丘に縦に刻まれる相で、ギャンブルにも強いことから、「ギャンブル線」とも呼ばれます。
向上線: 努力家に現れる相。生命線から発する形で、発展すると運命線となります。努力次第で成長していく線です。

その他の線

放縦線: 病の進行状態を表す相。不摂生な生活で変化しやすい線。
医療線: 医療の世界に携わっている人に出る相。
寵愛線: 他人からの強い影響により運勢が変化することを表す相。人気線が運命線に流れ込んだもの。
仕事線: 仕事が人生に対して強い影響を与える人に出る線。
手首線: 健康状態を表す相。虚弱体質・子宮後退等の状態を表す。
印象線: 身近な人からの影響を表す相。生命線の内側5mm以内に刻まれる細かい線。
隠徳線: 陰徳のある人に現れるという相だが、詳細は不明。
冥月線: 手首付近の冥王星丘から月丘に向かう線。長男的役割をして家督と墓を継承する人に出現する。
享楽線: 物事に熱中する人に現れる相。
ますかけ線: 知能線と感情線が繋がった状態の線。運勢の浮き沈みが激しく、強情で融通が利かないと見られがちですが、掴んだ運は離さないとも言われる縁起の良い相。
災害線: 災害にあう1年ほど前から出現するとされる線。
覇王線: 必ず成功や出世をすると言われる線。
十字線: 出る場所により、神秘十字線、太陽十字、奉仕十字線がある。神秘十字線は神秘的な世界に興味を持ち強運にも恵まれて直感力や予知能力などを持つ相。太陽十字線は芸術の分野で天才的な才能の持ち主である。
ソロモンの環: 人差し指の付け根にあたる木星丘で、指の第三関節の掌線より手首側に、弧を描く線。洞察力があり真理を得る、指導者のカリスマを持つとされる。かなり珍しい相。
ひきたて線: 人差し指の付け根にあたる木星丘で、指と同じ方向に走る線。目上からの引き立てを表す相とされている。
仏眼: 親指の第一関節の屈伸で現れる掌線が2本の線から成り、眼の形のように両端で接し中程で離れる様態。頭脳明晰の相とされる。また、直感力に優れ、神秘的な霊感、超能力を持つとも言われる。


手相は、手のひらに刻まれた情報から、自己理解を深め、より良い人生を歩むための一つのツールとして活用することができます。この情報を参考に、自身の人生をより豊かにしてみてはいかがでしょうか。

参考文献

平木場 泰義（著）「手相学の知識」(神宮館)
沢井 民三（著）「図解 手相の事典」(白揚社)
島田秀平（著）「幸せになれる開運手相占い」（河出書房新社）
伊藤瑛輔（著）「ずばり的中手相占い」（日本文芸社）
* 田口二州（著）『幸せになる手相大事典（ナツメ社）

もう一度検索