才口千晴

才口千晴（さいぐち ちはる）

才口千晴は、1938年9月3日に長野県で生まれ、2024年4月17日に逝去した日本の弁護士、元最高裁判所判事です。破産法を専門とし、その知識と経験を活かして、企業再生の現場や司法の場で活躍しました。

人物

才口氏は、破産法の分野で深い知識を持ち、その専門性を活かして、ダイエー再建時には企業再生ファンドのアドバイザーを務めました。また、2001年から2003年にかけては、ラジオ番組「テレフォン人生相談」の回答者として、一般の人々の悩みに対して法律的な側面からのアドバイスを提供しました。現在は、TMI総合法律事務所に所属し、弁護士としての活動を続けています。

略歴

1957年：長野県長野北高等学校を卒業後、中央大学経済学部に入学。
1959年：中央大学法学部に転部。
1961年：中央大学法学部を卒業。
1964年：司法研修所を修了（18期）。
1966年：弁護士登録（東京弁護士会）。
1984年：東京家庭裁判所の調停委員および参与員に就任。
1989年：東京弁護士会副会長に就任。
1994年：中央大学法学部客員講師、後に教授に就任。
1995年：法務省司法試験考査委員に就任。
1997年：日本弁護士連合会倒産法改正問題検討委員会委員長に就任。
1998年：法制審議会倒産法部会委員に就任。
1999年：最高裁判所民事規則制定諮問委員会委員に就任。
2004年1月6日：最高裁判所判事に任命。
2005年9月11日：最高裁判所裁判官国民審査において信任。
2008年9月2日：定年により最高裁判所判事を退官。
2009年11月3日：旭日大綬章を受章。
2011年：弁護士再登録。
2024年4月17日：脳梗塞のため逝去（享年85歳）。

最高裁判例

才口判事は、最高裁判事として、以下のような重要な判決に関与しました。

祖父母による孫の連れ去り事件: 未成年者誘拐事件に関して、家庭裁判所での調停や当事者間の話し合いによる解決が望ましいとし、刑事司法の介入は慎重であるべきとの判断を示しました。この事件では、高裁の実刑判決を破棄し、執行猶予付きの有罪判決を言い渡しました。
酒気帯び運転による懲戒免職事件: 酒気帯び運転で二度検挙された中学校教員の懲戒免職処分を巡る訴訟において、教諭の評価が高く、常習性がないと認定し、処分が重すぎると判断。教育委員会側の上告を棄却し、教諭の訴えを支持しました。
松文館裁判: 第一小法廷の裁判長として、チャタレー事件の最高裁判例を引用し、上告を棄却しました。

大法廷判決に対する対応

非嫡出子の相続差別: 非嫡出子の相続差別を合憲とする判断に対して、泉徳治判事とともに違憲とする反対意見を表明しました。
東京都保健婦管理職選考受験資格確認等請求事件: 公権力行使を伴う地方公務員の管理職試験資格に外国人を加えないことは憲法違反ではないという多数意見を支持しました。
その他、2005年の衆議院議員総選挙における小選挙区の区割り規定、候補者届出政党所属候補者と無所属候補者に対する選挙運動の差異、国籍法3条1項に関する判決において、多数意見を支持する立場を取りました。

著作

才口氏は、以下の著作を執筆しています。

『民事再生法の理論と実務（上・下）』（ぎょうせい）
『特別清算手続の実務』（商事法務研究会・共著）
『弁護士任官判事のつぶやき』（商事法務研究会・私家版）

これらの著作は、法律実務家にとって重要な参考資料となっています。

関連書籍

才口氏に関する情報が掲載されている書籍として、以下のものがあります。

『現代信濃人物誌 10』1972年

外部リンク

* TMI総合法律事務所 才口千晴：https://www.tmi.gr.jp/lawyer/profile/1087

才口千晴は、弁護士、最高裁判事として日本の司法に貢献し、多くの人々に影響を与えた人物でした。

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