折本駅

茨城県筑西市折本に位置する折本駅は、真岡鐵道が運営する真岡線に属する鉄道駅です。かつては国鉄の駅として開業し、地域の交通拠点の一つとして機能してきました。現在の駅は、真岡鐵道に移管された後に改良が加えられ、列車の交換も可能な設備を持つ地上駅として、地域の利用者に親しまれています。

歴史的変遷

折本駅は、明治末期にあたる1912年（明治45年）4月1日に、官設鉄道（後の日本国有鉄道、国鉄）の駅として営業を開始しました。開業当初は旅客だけでなく貨物や荷物の取り扱いも行う、比較的規模の大きな駅だったと考えられます。

しかし、時代の流れとともに駅の機能は変化していきます。太平洋戦争後の高度経済成長期に入った1958年（昭和33年）9月5日には、駅業務が委託化されるとともに、列車のすれ違いに必要な交換設備が撤去され、線路が一本となる「棒線化」が実施されました。これにより、駅での列車の行き違いはできなくなりました。

さらに、物流体系の変化に伴い、1963年（昭和38年）1月10日には、貨物と荷物の取り扱いが廃止され、旅客専用駅となります。そして、1970年（昭和45年）3月10日には、駅に職員が配置されない無人駅となりました。駅舎についても、利用形態の変化に合わせて改修が行われ、1975年（昭和50年）10月には駅長事務室や休憩室が撤去されるなど、規模の縮小や機能の合理化が進められました。

国鉄分割民営化という大きな節目を迎えた1987年（昭和62年）4月1日には、東日本旅客鉄道（JR東日本）の駅として一時的に運営されますが、翌1988年（昭和63年）4月11日には、真岡線が第三セクターである真岡鐵道に移管されたことに伴い、同社の駅となりました。

真岡鐵道への移管後、駅の設備にも再び変化が訪れます。2001年（平成13年）には、かつて撤去された交換設備が再び整備され、供用が開始されました。これにより、無人駅でありながらも、上り・下りの列車がこの駅で行き違うことが可能になり、運行上の柔軟性が向上しました。これは、真岡鐵道の観光資源でもあるSL列車「SLもおか」の運転においても重要な役割を果たしています。

駅の構造

現在の折本駅は、地上に設けられた相対式ホーム2面2線を持つ構造です。これは、線路を挟んで向かい合う形で二つのホームが配置されていることを意味します。前述のように、交換設備が復活したことにより、上下列車の行き違いが行われます。特に週末などに運転される人気観光列車「SLもおか」も、この駅で定期列車などとの交換を行うことがあります。

駅舎は、開業当時からの歴史を持つ建物が、主に住宅が多く立地する駅の東側にあります。この駅舎と、反対側のホームおよび駅西側とは、線路を横断する構内踏切によって結ばれています。興味深い点として、構内踏切を渡った西側のホームは、柵などが設けられておらず、駅に並行して走る国道294号バイパスの側道へと直接アクセスすることが可能です。これにより、駅の東西どちら側からも容易に駅を利用できるようになっています。

現在、折本駅は無人駅として運営されており、乗車券の販売などは行われていません。

利用状況と駅周辺

近年、折本駅の利用者数は大きくはないものの、地域住民の通勤・通学など、生活の足として利用されています。例えば、2019年度における一日の平均乗降人員は39人でした。

駅周辺の環境は、東西で異なる特徴を持っています。駅の東側は比較的古くからの住宅地が広がっており、生活感のある町並みが見られます。一方、駅の西側は、国道294号バイパスが通っており、その道路を挟んで水田地帯や工場などが見られます。

駅周辺には、生活関連施設として下館折本郵便局があります。また、地域の文化・教育施設としては筑西市立中小学校や筑西市中公民館が近隣に位置しています。自然や歴史に関連する場所としては、駅の近くを五行川が流れているほか、かつての伊佐城跡や中舘観音寺なども徒歩圏内にあり、散策の対象となります。

隣接する駅としては、真岡鐵道真岡線の下館二高前駅とひぐち駅があります。なお、SLもおか運行日には、下り列車において下館駅の次に停車するのが折本駅となり、その次は久下田駅となります。

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