抹茶

抹茶（まっちゃ）

抹茶は、中国の末茶（モチャ）を起源とする緑茶であり、12世紀に日本に伝わりました。元々、中国では黒褐色の団茶を粉末にする形で存在していましたが、14世紀に明の朱元璋が団茶の製造を禁止したことにより、この形式は中国で衰退し、日本での発展が進みました。抹茶は、室町時代以降の栽培方法や製法の改良によって、現在見る緑色の茶（碾茶）から作られるようになりました。

抹茶の定義

今日、抹茶は以下のように定義されています。日陰で栽培された茶葉を蒸し、揉まずに乾燥させた後、茶臼で微粉末にしたものを指します。その中でも蒸した茶葉を挽いたものは「碾茶（てんちゃ）」と呼ばれます。

この栽培方法により、乾燥した茶葉中のアミノ酸が増加し、味が一層旨味豊かになります。ただし、実際にはこの定義を満たしていない製品も多く市販されており、これらは「粉末茶」の一種として分類されます。市場では本来の抹茶に対して、約7割強がこのような粉末茶で販売されているとされています。

抹茶とその歴史

中国における抹茶の歴史

古代中国においては、茶は固められた餅茶が主流でした。8世紀頃、中国の陸羽が著した『茶経』には茶の製法が詳しく記されており、その中には茶葉を杵と臼でつき、塊に整形した後、火であぶって粉末にする方法が記載されています。この時期の茶は、飲用よりも薬用としての用途が強く、味を補うために多くの調味料が使われていました。

抹茶という言葉は中国の文献では見つかっていませんが、11世紀までには粉末の茶を点てる技術が存在したと考えられています。やがて、宋代には団茶が複雑な製造プロセスを経て高価な品扱いとなり、一般庶民は手の届かない存在となりました。明代になり団茶の製造禁止が発令されると、中国では茶葉を焙煎した散茶の方が主流となりました。

日本における抹茶の普及

日本への茶の伝来は平安時代初期に遡ります。鎌倉時代に臨済宗の開祖、栄西が茶の種を持ち帰り、佐賀県の脊振山に植えました。栄西の『喫茶養生記』では、茶の製法やその効用について記され、茶の栽培技術が徐々に広がりました。

14世紀に茶臼が登場し、細かい抹茶の製造が可能となることで、滑らかな食感とまろやかな風味を持つ抹茶が作られるようになりました。また、日陰で育てる栽培方法が開発され、風味や色合いも改善されていきました。

抹茶の特徴

本来の抹茶は、青海苔のような香りを特徴とし、高品質のものは濃厚な旨味を持ち、渋味が少なく滑らかな口当たりとなります。この独特の品質は、遮光栽培によって育まれたアミノ酸の含有量と密接に関連しています。高価格の抹茶ほど、テアニンを多く含む傾向があります。

飲み方と茶道

抹茶の楽しみ方には薄茶と濃茶があり、薄茶を作る行為を「薄茶を点てる」、濃茶を作ることを「濃茶を練る」と呼びます。茶道では、専用の道具を使用して抹茶を点て、旨味を引き出す重要な役割を果たしています。茶道においては、菓子を食べた後で抹茶をいただくことが習わしです。たとえば、濃茶は回し飲みの形式が取られ、儀式的な意味合いを持っています。

話題の幅と現代の利用

抹茶は現代では幅広く利用されており、グリーンティーや和菓子、冷菓、洋菓子、さらにはカクテルなど多岐にわたります。特に、抹茶の独特な風味が重視されており、食品業界でも人気があります。最近では、抹茶が持つ健康効果やビタミンCの豊富さが評価されているだけでなく、バリエーションも豊富になっています。

抹茶はその豊かな歴史と共に、今日に至るまで多くの文化的価値を担ってきました。これからも、伝統と革新を交えながら、日本の食文化の一部であり続けるでしょう。

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