救急隊

救急隊について

救急隊とは、急を要する医療が必要な場合に迅速に現場に出向き、傷病者に対して適切な処置を行い、その後病院へ搬送する専門の部隊です。このサービスは、救急車を使用して実施され、一般的には消防組織の一部として機能します。

日本における救急隊の役割

日本では、消防組織が救急搬送を担っています。全国各地の消防本部や消防署には救急隊が設置されており、原則として救急隊員、隊長、機関員の3名で1チームを構成します。救急隊員は消防吏員の中から選ばれ、救急課程の研修を受けて資格を取得します。2017年4月以降、離島や過疎地域での救急隊構成においては、1名を准救急団員（基礎講習修了者など）として配置することも認められています。

かつては法的な制約により、救急隊員が医療行為を行うことはできず、病院へ搬送するのみでした。しかし、1991年に施行された救急救命士法により、救急救命士国家試験を受けて資格を取得した隊員は、医師の指示のもとで限定的に医療行為を実施できるようになりました。これにより、救急隊員はより質の高い救命処置を行えるようになり、救命処置を行うために特別に設計された高規格救急車が配備されることが求められています。これらの車両には少なくとも1名の救急救命士が搭乗することが目標とされています。

一方で、中小規模の消防本部では、救急隊と消防隊や救助隊を兼務する場合もあります。また、常備消防が存在しない自治体では、役場職員が救急搬送のみを行う「役場救急」が大半を占めています。この制度においては、救急救命士資格を持たない役場職員が医療行為を行うことはできません。
2015年には、初めて民間企業に所属する救急救命士が役場救急に同行し、通常の救急隊と同様の医療行為を行う「救急救命業務委託」が開始されました。この活動は「日本救急システム」により、複数の自治体から委託を受けて実施されています。

タイにおける救急隊の状況

一方、タイでは2008年にタイ国立救急医療センターが設立されるまで、政府の公的な救急隊は存在しませんでした。それまでは、急病人や負傷者を病院に搬送したり、災害時に救命活動を行ったりする役割は、善堂と呼ばれる仏教系のボランティア団体が担っていました。特に、華僑報徳善堂、泰国義徳善堂、合艾同聲善堂などの著名な団体が積極的に活動しています。

まとめ

このように、救急隊は地域における医療環境の重要な要素であり、傷病者の救命活動において欠かせない存在です。それぞれの国や地域によって救急隊の運営や構成は異なりますが、いずれも命を救うための重要な役割を果たしています。日本の救急隊は法改正により医療行為を行えるようになり、タイではボランティア団体が主な役割を担っている点が印象的です。これからも、救急隊の充実したサービスが求められます。

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