文化勲章

文化勲章の詳細

文化勲章（ぶんかくんしょう）は、日本の誇る勲章の一つであり、特に科学技術や芸術の分野において顕著な貢献を果たした個人に授与されます。この勲章は階級を持たない単一級のものであり、政府の施策や文化政策に基づいてその受章者が選ばれます。文化勲章は1937年に制定され、内閣総理大臣・廣田弘毅の提案によるものです。同年の勅令により正式に創設され、その目的は文化の発展と向上を促進することにあります。

文化勲章の意匠

文化勲章はその意匠においても特異な特徴を持っています。デザインは東京高等工芸学校の教授である畑正吉によるもので、橘の花をモチーフにしており、これは昭和天皇の意向を反映したものとされています。勲章は章、鈕、環、綬から構成され、章の表面は橘の五弁の花を中心に三つ巴の曲玉が配置されていて、裏面には青地に「勲功旌章」と刻まれています。鈕は橘の葉と実を模しており、環は金色で小楕円形、綬は淡紫色であることが定められています。

授与式と選考手続き

文化勲章の授与は毎年11月3日の文化の日に、皇居で行われる親授式において、天皇から直接渡されます。この授与形式は1997年に変更されるまで、内閣総理大臣による伝達式が主流でした。文化勲章を受章するためには、文化庁の文化功労者選考分科会が推薦し、文部科学大臣がその候補者を内閣府に提出、最終的には閣議で決定される流れです。

選考基準と辞退者

文化勲章の選考は非常に厳格であり、文部科学大臣は文化の発展に顕著な功績を挙げた者を対象にしています。また、同年のノーベル賞受賞者が未受章の場合、贈られる傾向にありますが、過去には有名な作家や画家が辞退する例もありました。例えば、大江健三郎は「民主主義に勝る権威と価値観を認めない」として文化勲章を拒否しました。また、熊谷守一は自らの信条から、河井寛次郎は名利を求めない姿勢から辞退しています。

追贈と例外的な授与

文化勲章は亡くなった後に追贈されることもありますが、この授与は生前とされ、いくつかの例が存在します。たとえば、六代目尾上菊五郎や牧野富太郎が死後に追贈されました。また、1969年にはアポロ11号の宇宙飛行士たちにもこの勲章が贈られるという異例の事態がありました。この際、文化功労者としての顕彰は行われず、日本の勲章制度においても特異な授与でした。

結論

文化勲章は日本の文化に対する功績を正当に評価し表彰する重要な制度です。その受章者には文化功労者としての年金制度も設けられており、文化の振興に寄与した人々が生活面でも支援される仕組みが整っています。従って文化勲章は、単なる名誉勲章に留まらず、文化の発展に寄与するための重要な役割を果たしています。

もう一度検索