斎藤明

斎藤明（さいとう あきら）は、1933年9月30日に上海で生まれ、2013年6月13日に79歳で亡くなった日本の実業家です。毎日新聞社の代表取締役社長、会長を歴任し、日本の報道界に大きな足跡を残しました。

生い立ちと学歴

斎藤明は、横浜正金銀行に勤務していた父親の仕事の関係で上海で生まれ、幼少期はパリで過ごしました。第二次世界大戦が始まるまでの間をパリで過ごし、帰国後、都立日比谷高校を経て東京大学文学部へ進学。大学では西洋史を専攻しました。

毎日新聞社でのキャリア

1959年、斎藤明は毎日新聞社に入社しました。横浜支局、社会部、政治部を経験し、1971年から1975年までワシントン支局に駐在しました。1979年には、政治部副部長時代に連載記事『転換期の安保』でサントリー学芸賞を受賞しています。

その後、政治部長、論説委員長、主筆兼東京本社編集局長、専務などを経て、1998年6月には代表取締役社長に就任しました。社長在任中には、2003年5月に毎日新聞記者によるアンマン空港爆発事件が発生し、2004年1月には毎日新聞社長監禁事件で自身も監禁されるという出来事に遭遇しました。2004年6月には会長に就任し、2005年6月に会長を退任、相談役に就任しました。

アンマン空港爆発事件と社長監禁事件

斎藤明は、社長在任中に発生した二つの大きな事件に直面しました。アンマン空港爆発事件では、事件発生後すぐに現地に赴き、犠牲者への弔意を表しました。また、毎日新聞社長監禁事件では、自身が被害者となったことで、人権の重さを痛感し、一部週刊誌の報道姿勢に苦言を呈しました。監禁事件後のコメントでは、「今回、初めて犯罪の被害者となり、被害者の立場のつらさ、人権の重さを、文字通り身にしみて感じております」「できうるなら私と私の家族の人権は守らせていただきたい」「一部の週刊誌は、興味本位に私の人権や名誉を顧みない内容の問い合わせをしてきています。それがそのまま記事として公表されるかどうかはわかりませんが、同じ報道に携わる者として悲しい限りです」と述べています。

人となりと家族

斎藤明は、報道人としての強い責任感と、人権を重んじる姿勢を持った人物でした。また、その家族も著名な人物が多く、妻の富佐子は実業家嶺駒夫の長女で、政治家櫻内幸雄の孫にあたります。また、妻の妹は福田康夫元総理大臣の妻です。他にも、次姉は国際基督教大学の名誉教授であり、親族には政治家や学者など、多岐にわたる分野で活躍する人物がいます。

斎藤明は、2013年6月13日に腎細胞癌のため79歳で亡くなりました。墓所は多磨霊園にあります。

もう一度検索