方谷駅

方谷駅は、岡山県高梁市中井町西方に位置する、西日本旅客鉄道（JR西日本）伯備線の駅です。駅番号はJR-V15。ひっそりとした佇まいの無人駅ですが、その歴史と周辺の豊かな自然が訪れる人々を魅了します。

駅名の由来と知られざるエピソード

駅周辺に「方谷」という地名はありません。駅名は、幕末の備中松山藩士であり、備中聖人とも呼ばれた山田方谷に由来する人名駅です。建設当初は地元の村名から「中井駅」として計画されましたが、山田方谷ゆかりの地であることから、地元住民が駅名変更を要望しました。しかし、鉄道省側は人名にちなんだ駅名に難色を示したため、住民は近くの地名「西方」に結び付け、「方谷は人名ではなく地名（西方の谷）である」という名目で運動を進め、現在の駅名にたどり着きました。このエピソードは、地元住民の熱意と知恵によって実現した駅名であることを物語っています。

歴史

1928年（昭和3年）10月25日：鉄道省伯備線備中川面駅 - 足立駅間延伸時に開設。
1971年（昭和46年）10月1日：貨物取扱廃止。
1984年（昭和59年）
2月1日：荷物扱い廃止。
3月31日：無人駅化。
1987年（昭和62年）4月1日：国鉄分割民営化に伴い、JR西日本の駅となる。
* 2021年（令和3年）3月13日：ICカード「ICOCA」の利用が可能となる。

登録有形文化財の駅舎と周辺

開業当時からの木造駅舎は、歴史を感じさせる風格があり、国の登録有形文化財に登録されています。駅舎内には、往時の面影を残す待合室があり、旅の疲れを癒す空間となっています。

駅のすぐそばには、山田方谷が幼少期を過ごした長瀬塾（開墾屋敷）跡があります。ここは、越後長岡藩士の河井継之助が方谷を訪ねた場所としても知られています。プラットホームの向かいの山側には、「山田方谷先生住宅址」の碑が建てられています。また、高梁川を挟んで南西側の国道180号沿いには、河井継之助が方谷のもとを去る際に三度振り返り土下座をしたという「見返りの榎」が残っています。これらの史跡は、方谷駅周辺が歴史的に重要な場所であることを物語っています。

聖地巡礼地として

2014年には、高梁市が支援したテレビアニメ作品『愛・天地無用!』の舞台地となり、サブカルチャーにおける聖地巡礼の地としても注目を集めました。アニメファンにとっては、見逃せない観光スポットとなっています。

駅の構造

島式ホーム1面2線を有する地上駅で、列車交換が可能です。ホームへは地下道を通って階段を上る必要があります。ホーム上には待合スペースが設けられています。駅は崖と高梁川に挟まれた場所に位置し、自然豊かな景観が広がります。

新見駅が管理する無人駅で、自動改札機や自動券売機はありませんが、ICOCAを利用できます。

利用状況

近年は利用者が減少傾向にあります。しかし、地域住民にとっては大切な交通手段であり、駅の存続が望まれています。

アクセス

備北バスが運行するバス停があり、高梁バスセンターや川面駅前方面へのアクセスが可能です。


方谷駅は、歴史と文化、自然が調和した魅力的な駅です。ぜひ一度、足を運んでみてください。

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