日亜化学工業

日亜化学工業株式会社について

日亜化学工業株式会社は、徳島県阿南市に本社を構える化学メーカーです。略称として「日亜」や「日亜化学」とも呼ばれます。同社は、発光ダイオード（LED）などの電子デバイスや、蛍光灯に用いられる蛍光体といった製品を扱っています。かつてはストレプトマイシンの製造にも携わっていましたが、現在はLED関連製品が主力となっています。2018年にはLEDの世界シェアで首位を誇っていましたが、2021年には第2位となっています。

創業と成長

1956年、小川信雄によって徳島県阿南市新野町に設立されたのが始まりです。当初は蛍光灯用やブラウン管テレビ用の蛍光体メーカーとして成長しました。その後、高輝度青色LEDを製品化したことで、世界的にその名を知られるようになりました。現在では、青色LEDと蛍光体を組み合わせた白色LEDが主力製品であり、主に携帯電話のバックライトとして広く利用されています。

社名の由来

社名である「日亜（NICHIA）」は、日本の「日（NICHI）」と、アジア、アメリカ、オーストラリアを表す「亜（A）」を組み合わせたものです。この社名には、「日本を中心に四海仲良く肩を並べて発展していこう」という創業者の思いが込められています。

青色LED開発と技術革新

日亜化学工業は、20世紀中には不可能とされていた高輝度の青色発光ダイオードを1993年11月に製品化しました。さらに、青色LEDと蛍光体を組み合わせた白色LEDを開発し、携帯機器のバックライトや車載照明など、幅広い分野で利用されるようになりました。また、第3世代光ディスクに不可欠な青紫色LDの開発にも成功し、この分野の技術進歩に大きく貢献しました。

中村修二氏との関係

青色LEDの開発を主導した中村修二氏は、2014年にノーベル物理学賞を受賞しました。受賞インタビューで、中村氏は在籍時の社長であった小川信雄氏に感謝の意を述べ、「開発したいという私の提案を5秒で決断し、米国留学と中小企業としては破格の研究開発費を用意して支援してくれた。彼は私が知る最高のベンチャー投資家だ」と称えました。しかし、その後、特許を巡る訴訟問題で対立が深まりました。中村氏が文化勲章受章時に和解を申し出たものの、日亜化学工業側は「感謝の気持ちで十分」として面会を断っています。

ツーフローMOCVD技術特許訴訟

中村修二氏が開発した「ツーフローMOCVD技術」に関する特許権の帰属を巡り、日亜化学工業を提訴しました。この訴訟は、職務発明の扱いに大きな影響を与え、特許法の改正にも繋がりました。裁判所は両者に和解を促し、和解が成立しましたが、中村氏は「日本の司法は腐っている」と発言し、波紋を呼びました。

その他の出来事

YouTube動画を巡る騒動

YouTubeに投稿された、同社の職場環境を批判する動画に対し、削除を求めた訴訟を起こしました。裁判所は同社の訴えを認め、動画の削除と発信者情報の開示を命じる判決を下しましたが、動画は別アカウントで再投稿されるなど、騒動は収束していません。

アウティング問題

同社に勤務していた同性愛カップルが、上司によって許可なく性自認を社内に伝えられたとして、人格権侵害を理由に損害賠償を求める訴訟を起こしました。この問題は、企業における性的マイノリティへの配慮の必要性を浮き彫りにしました。

主な拠点

日亜化学工業は、徳島県内に本社を含む複数の工場を構えるほか、海外にも生産拠点を展開しています。

本社: 徳島県阿南市
新野工場 (A工場): 徳島県阿南市 (旧本社、電池材料を製造)
辰巳工場 (TN工場、TS工場): 徳島県阿南市 (蛍光体、LED、電池材料などを製造)
徳島工場 (V工場): 徳島県徳島市 (遷移金属触媒、電子材料を製造)
鳴門工場 (N工場): 徳島県鳴門市 (LED応用製品を製造)
東京営業所: 東京都港区
大阪営業所: 大阪府大阪市淀川区
名古屋営業所: 愛知県名古屋市中村区
諏訪技術センター: 長野県諏訪郡下諏訪町
徳島研究所: 徳島県阿南市上中町(本社内)
横浜研究所: 神奈川県横浜市神奈川区

まとめ

日亜化学工業は、LEDや蛍光体の分野で世界をリードする企業であり、技術革新を通じて社会に貢献しています。一方で、特許訴訟や職場環境に関する問題も抱えており、企業としての課題も抱えています。

関連項目

シグニファイ - LED世界シェア第1位の企業
* オスラム - LED世界シェア第2位の企業

外部リンク

日亜化学工業株式会社

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