日本ホテル&レジデンシャル投資法人

日本ホテル＆レジデンシャル投資法人：世界初の温泉特化型REITからの変遷

日本ホテル＆レジデンシャル投資法人は、東証REIT市場に上場する不動産投資信託（J-REIT）です。2016年、大江戸温泉物語グループの積極的な事業拡大を支えるため、「大江戸温泉リート投資法人」として設立されました。同グループが当時未進出だった九州や北海道への進出、大都市圏近郊への新たな拠点展開を加速させるための資金調達手段として、REITという手法が選ばれたのです。

世界に類を見ない温泉特化型REITという点も特筆すべきでしょう。既存のREIT市場にはなかった、温泉や温泉旅館を主な投資対象とするこのREITは、大江戸温泉物語グループの事業戦略と密接に連携し、200億円規模の資金調達を実現しました。上場申請時の資料によると、投資総額の約80％を温泉関連施設に充当する計画でした。

当初、ポートフォリオには「大江戸温泉物語」ブランドの複数の施設が含まれていました。具体的には、伊勢志摩、伊東ホテルニュー岡部、熱海、土肥マリンホテル、あわら、かもしか荘、伊香保、君津の森といった温泉旅館の他、「大江戸温泉物語レオマリゾート」も取得予定でした。これらの物件は、大江戸温泉物語グループや香川県観光開発から取得されたものです。

しかし、2023年12月には、大きな転換期を迎えます。メインスポンサーが、大江戸温泉物語グループからアパグループへと変更されたのです。これは、資産運用会社である「大江戸温泉アセットマネジメント株式会社」の株式100％がアパホールディングス株式会社に取得されたことを意味します。それに伴い、資産運用会社の名称は「アパ投資顧問株式会社」に変更されました。そして、2024年2月27日、社名も「日本ホテル＆レジデンシャル投資法人」へと変更されました。

この変化は、REITの投資戦略や運営に新たな方向性を示唆しています。アパグループ傘下での今後の展開は、従来の温泉特化型という枠組みを超え、ホテルやレジデンシャル（居住用不動産）といった幅広い分野への投資拡大の可能性も示唆しています。

沿革

2016年3月28日：設立企画人である大江戸温泉アセットマネジメントによるREIT設立届出
2016年3月29日：REIT組成、設立登記
2016年4月4日：資産運用委託先、資産保管会社、投資主名簿等管理人、一般事務業務委託先の選定・契約締結
2016年5月13日：関東財務局長によるREIT登録
2016年7月29日：東証REIT市場への新規上場公告、有価証券届出書提出
2016年8月31日：東証REIT市場に上場

ポートフォリオ（2023年9月28日現在）

日本ホテル＆レジデンシャル投資法人のポートフォリオは、大きく分けて「余暇活用型施設」と「アコモデーション施設」に分類されます。余暇活用型施設には、大江戸温泉物語ブランドの温泉旅館が多数含まれています。一方、アコモデーション施設は、ホテルやマンションなど居住用施設も含まれます。 2023年9月28日時点では、15物件、取得価格359億8300万円となっています。 さらに、過去には「大江戸温泉物語長崎ホテル清風」、「大江戸温泉物語かもしか荘」、「大江戸温泉物語きのさき」なども保有していましたが、譲渡済みです。

今後の展望

アパグループ傘下となった日本ホテル＆レジデンシャル投資法人の将来は、アパグループの事業戦略と密接に結びついています。 アパグループの不動産開発・運営ノウハウと、REITによる資金調達能力の組み合わせが、新たなビジネスモデルを生み出す可能性を秘めています。 今後の投資対象の拡大やポートフォリオの再編、そして株主へのリターン向上策など、様々な展開が期待されます。

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