曖昧

曖昧さ（Ambiguity）とは

曖昧さとは、物事が二通り以上に解釈可能であり、一つに特定できない状態を指します。特に、単語や文章が複数の意味を持ちうる多義性を意味することが多く、言[[語学]]や文学批評など幅広い分野で研究対象となっています。

ただし、日本語においては、不明瞭なことやはっきりしないこと全般を指す場合があり、より広義な意味で使用されることもあります。

概要

自然言語には曖昧さが不可避的に存在します。そのため、言[[語学]]においては、曖昧性は重要な研究テーマの一つです。

哲学や論理学においても、曖昧さは古くから議論されてきました。例えば、アリストテレスの『ソフィスト的論駁について』では、曖昧さが論理的誤謬の原因の一つとして指摘されています。また、法学における法解釈や契約法などでも、曖昧さの問題が扱われています。

文学批評における曖昧さ

文学批評においては、テキストが複数の意味に解釈される可能性に着目します。

ウィリアム・エンプソンは、1930年の著作『曖昧の七つの型』において、英[[語]]詩における曖昧性を分類し、文学研究に大きな影響を与えました。エンプソンは、曖昧さを「一つの表現にいくつかの反応を許す」ことによって言語表現を豊かにするものとして肯定的に評価しました。彼の研究は、ニュー・クリティシズムにおけるアイロニーやパラドックスの扱いの先駆けとなりました。

エンプソンは、曖昧さを以下の7つの型に分類しました。

1. 語あるいは文の構造が同時に多様に働く場合
2. 2つ以上の意味が融け合い一つの意味になる場合
3. 2つ以上の意味を持つ語の各意味が、ともに適切である場合(すなわち地口)
4. 文章にある2つ以上の意味が、それぞれの意味が他と一致せず複雑な心理を明らかにする場合
5. その観念が生成過程であるため比喩が正確にあてはまる対象がない場合
6. 文章が類語の反復や矛盾を引き起こし、何も意味していない場合
7. 語の2つの意味が、2つの対立する意味をなし、主体の分裂を示している場合

曖昧さを理解することは、言語や文学作品をより深く読み解く上で不可欠な要素と言えるでしょう。

関連項目

曖昧な文法
語義の曖昧性解消
ファジィ
多義[[語]]
連綿語

外部リンク

Ambiguity （英[[語]]） - スタンフォード[[哲学百科事典]]「曖昧さ（多義性）」の項目。

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