月寒あんぱん

月寒あんぱん

月寒あんぱん（つきさむあんぱん）は、北海道札幌市豊平区月寒東の株式会社ほんまが製造販売している、こしあんを用いた半生菓子です。一般的なあんパンとは一線を画す独特の製法と味わいで、長きにわたり地元の人々に愛され続けています。

歴史

月寒あんぱんの起源は、明治時代初期に遡ります。1874年（明治7年）、旧陸軍歩兵第25連隊内で菓子販売を行っていた大沼甚三郎が考案したのが始まりとされています。

大沼が考案した月寒あんぱんは、たちまち月寒地区の名物となり、最盛期には10軒ほどの製造者が存在したと言われています。その中でも、1906年に創業し、現在も製造を続ける株式会社ほんまの創業者である本間与三郎もその一人でした。

1911年（明治44年）には、豊平区にあった町役場が月寒に移転したことを受け、平岸地区の住民が役場への連絡道路の建設を要望しました。これに応え、歩兵第25連隊が国道36号の月寒中央7丁目から国道453号の平岸小学校まで、全長2.6キロメートルの道路を約4ヶ月で建設しました。この際、作業員への間食として、当時の菓子店から月寒あんぱんが配られたことから、この道路は「アンパン道路」と呼ばれるようになったという逸話も残っています。

しかし、太平洋戦争が勃発すると、物資不足の影響で菓子店は次々と休業に追い込まれ、月寒あんぱんの生産も一時的に途絶えてしまいました。戦後、株式会社ほんまのみが製造を再開し、2006年には創業100周年を迎え、現在も伝統の味を守り続けています。

製品

月寒あんぱんは、一般的なあんパン（餡入りのパン）とは異なり、月餅に近い独特の製法で作られています。生地には卵が多めに使われており、水分が控えめで、しっかりとした密度の高い仕上がりになっています。そのため、一般的なあんパンと比較して保存が利きやすい（賞味期限が製造から1ヶ月）という特徴があります。

バリエーション

現在、月寒あんぱんには様々なバリエーションが存在します。

月寒あんぱん（こしあん）：北海道産の小豆を100%使用した定番商品です。
かぼちゃあん
黒糖あん
抹茶あん
月寒あんぱんスティック（こしあん）：2010年5月に販売された棒状の月寒あんぱんです。
メロン味
100年前月寒あんぱん：創業当時のレシピを再現した復刻版。本店でのみ味わうことができます。
抹茶あん、黒胡麻あん味: 2010年10月1日から発売された新しい定番商品です。

その他

アンパン道路：月寒あんぱんが由来となった道路。国道36号線の一部を指します。
人気漫画『ゴールデンカムイ』に登場したことをきっかけに、パッケージにキャラクターをあしらったコラボ商品も販売されています。


長きにわたり札幌市民に愛され続ける月寒あんぱん。その歴史と味を、ぜひ一度お試しください。

もう一度検索