有坂成章

有坂 成章の生涯と業績

有坂成章（ありさか なりあきら、1852年4月5日 - 1915年1月12日）は、日本の陸軍軍人であり、陸軍中将としての地位を有した華族です。彼は国産小銃のひとつである有坂銃の開発者として知られ、銃砲開発の大家として名を馳せました。

幼少期と教育

周防国岩国に生まれ、長州藩の家臣の二男として、幼名を四郎と呼ばれた有坂は、若い頃から砲術に関心を抱いていました。文久2年（1862年）、11歳の時に有坂長良の養子となり、岩国藩の洋式軍隊である日新隊に加わります。明治維新後、有坂は開成学校で学び、さらに陸軍兵学寮に入校。彼は明治6年（1873年）に中退しますが、語学専業生として教官となり、後に造兵司に勤務しました。

陸軍でのキャリア

彼は明治15年（1882年）に陸軍砲兵大尉に任官され、沿岸要塞を専門にするようになります。その後、砲兵会議審査官や東京砲兵工廠長に就任しながら、数々の新型野砲の開発に尽力しました。特に明治31年（1898年）には三十一年式速射砲を開発し、「有坂砲」として名を馳せました。この発展により、日本陸軍は新たな制式砲を手に入れることができました。

日露戦争への貢献

明治36年（1903年）には陸軍技術審査部長に就任し、日露戦争における日本の勝利に貢献します。有坂の設計した銃器は、三十年式歩兵銃と呼ばれ、当時のロシア軍の武器を凌ぐ性能を誇りました。また、旅順攻囲戦では、彼が提案した二十八糎砲が重要な役割を果たし、旅順要塞の破壊に大きく貢献しました。

栄誉と受章

有坂成章はその技術的な貢献が高く評価され、多くの栄誉を授与されました。明治39年（1906年）には功二級金鵄勲章、明治40年（1907年）には男爵に叙爵され、さらに明治43年（1910年）には勲一等瑞宝章を受章しました。しかし、彼は自身の功績を誇ることを嫌い、多くの人命を失ったことへの想いから、叙勲の際に困惑していたと伝えられています。

晩年と死

晩年、彼は健康を害し、明治44年（1911年）には脳溢血で倒れ、引退を余儀なくされました。大正4年（1915年）に64歳という若さでこの世を去りました。彼の遺骨は今も東京都台東区の谷中霊園に眠っています。

有坂成章は日本の軍事史において重要な役割を果たした人物であり、特に日露戦争における彼の技術革新は、今なお高く評価されています。また、その成果はアメリカにおいても広く知られ、三十年式以降の日本の小銃は「アリサカ・ライフル」として名を馳せました。

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