本田技術研究所

株式会社本田技術研究所の概要

株式会社本田技術研究所（Honda R&D Co.,Ltd.）は、本田技研工業の研究開発部門が分社化して設立された企業で、埼玉県和光市に本社を置き、その他にも朝霞市や栃木県芳賀町に研究施設を有しています。1960年の設立以来、ホンダの技術革新を支える重要な役割を果たしています。

設立の背景

創業者である藤沢武夫の理念に基づき、「研究所を本社から分離することで自由な研究環境を提供し、労働組合の影響を受けにくい体制を構築する」という目的で設立されました。当初は本田技研工業の業績が安定していなかったため、社員の間には強い反発がありましたが、藤沢はその意義を認めさせるために強固に推進しました。さらに、研究所への委託研究費が売上高に基づいて支払われる仕組みも特徴的で、設立当初は売上の2.5%、2012年には基準が5%に引き上げられました。

組織構造の変化

本田技術研究所は、研究の質を保つためにフラットな組織形態を志向していますが、時間が経つにつれて階層が増し、ピラミッド型の組織に近づく懸念も生じていました。これに対抗するため、2006年には事業ごとに5つの開発センターを設置し、組織の大幅な再編が実施されました。これにより、現場への権限を大幅に委譲し、研究者の裁量が拡大しました。

2019年には、さらなる体制改革が進められ、「先進技術研究所」が設置され、デジタル技術の研究を集約した「デジタルソリューションセンター」が新設されました。この改革により、二輪や四輪の開発部門も統合され、従来の「商品開発は研究所、製造・販売は本社」という区分が見直されていきました。2020年には自動車の研究機能が四輪事業本部に移管され、研究所はデザイン等一部の機能を除いて、商品開発から距離を置くことになりました。さらに、2022年には「HRD Sakura」がホンダ・レーシングへ移管され、研究所の独立した規模は縮小しています。

研究開発施設

本田技術研究所が持つ研究開発施設は、以下の通りです：

• - 先進技術研究所（埼玉県和光市）
• - 先進パワーユニット・エネルギー研究所（同上）
• - デザインセンター（同上）
• - ライフクリエーションセンター（埼玉県朝霞市）
• - HRD Sakura（栃木県さくら市）

このように、株式会社本田技術研究所は、常に組織を進化させながら、ホンダの先駆的な技術開発を支える中核機関としての役割を果たしています。革新を追求する姿勢は、今後も変わらずに続くことでしょう。

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