杭全神社

杭全神社の概要

杭全神社（くまたじんじゃ）は大阪市平野区平野宮町に存在する神社で、もともとは熊野権現社として知られていました。この神社は、地域の氏神として崇敬されており、特に坂上氏の祈願所としても重要な役割を果たしています。また、この神社は府社の格式を持ち、毎年7月11日から14日にかけて行われる平野だんじり祭が特に有名で、この期間中には周辺の国道が規制されることでも知られています。

歴史

杭全神社の起源は非常に古く、貞観4年（862年）に遡ります。当時、征夷大将軍坂上田村麻呂の孫である坂上当道が、牛頭天王を勧請し、現在の第一本殿にあたる祇園社を創建しました。その後、建久元年（1190年）には第三本殿の熊野證誠権現が建立され、さらに元亨元年（1321年）には現在の第二本殿が建てられ、結果的に「熊野三所権現」の詔勅を受け、当社は熊野権現の総社となりました。

明治時代に入ると、神仏分離の流れの中で仏教的要素は多くが長宝寺に移されました。1870年には神社の名称が平野熊野三所権現から杭全神社に改められ、1882年には郷社に指定されました。さらに、1906年には指定神社となり、1930年には府社に昇格を果たしています。特筆すべきは、連歌所が日本で唯一残存している点で、1987年には連歌会が復活し、現在も毎月平野法楽連歌会が開かれています。

祭神

杭全神社の主祭神としては、以下の5柱が祀られています。

• - 第一本殿 - 素盞嗚尊（牛頭天王）
• - 第二本殿 - 熊野三所権現（伊弉册尊・速玉男尊・事解男尊）
• - 第三本殿（証誠殿） - 伊弉諾尊（熊野證誠権現）

これらはそれぞれの本殿に祀られており、境内にはその他にも多数の社があります。

境内の構成

まず第一本殿は、元禄3年（1690年）に建てられたもので、現在は重要文化財に指定されています。第二本殿と第三本殿もそれぞれ重要文化財であり、歴史的価値が高い建築物です。また、連歌所は宝永5年（1708年）に再建されたもので、日本で唯一の現存する連歌所として、大阪市の指定有形文化財となっています。

境内の南側には杭全公園、北側には新杭全公園があり、周囲を囲む環濠の名残も見受けられます。神社の魅力はその歴史的背景だけでなく、自然との調和にもあります。

祭事

杭全神社では、年間を通じて多くの祭事が催されています。1月には歳旦祭や成人祭、2月の節分祭、そして7月の夏祭りなど、地域の人々が集結し、地元の文化を深める場となっています。特に夏祭りは多くの見物客を集める一大イベントです。

アクセス

杭全神社へのアクセスは、平野駅から徒歩で行ける距離にあり、大阪シティバスや近鉄バスの停留所も利用可能です。地域住民だけでなく、観光客にとっても訪れやすい場所となっています。

このように、杭全神社は長い歴史を持つと共に、地域の信仰と文化を支える重要な存在です。

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