松山主水

松山主水の生涯と二階堂平法

松山主水（まつやま もんど、生年不詳 - 1635年）は、江戸時代初期の著名な武芸者であり、剣客として名を馳せました。彼は二階堂平法の道統者で、「心の一方」という独自の技術を持ち、その名を高めていきました。名は大吉（だいきち）、また源之丞とも称されていました。

二階堂平法の創始

主水は、祖父から受け継いだ伝統を基に、二階堂流剣術を発展させて二階堂平法を創始したと言われています。この流派は、鎌倉幕府の評定衆であった二階堂氏が開いたものとも、念流の祖である念阿弥慈恩の弟子が興したものとも伝えられています。二階堂平法は「一文字」「八文字」「十文字」という段階を持ち、これらの文字を組み合わせて「平」という表現が使われました。　

主水はこの平法の伝授を12歳から受け、様々な秘技も習得していきました。特に「心の一方」と呼ばれる技術は、対象者を瞬間的に金縛り状態にする力を持っていたとされ、驚異的な能力として知られています。

細川家への仕官とその後

寛永6年（1629年）、江戸で細川家に仕官し、特に細川忠利に剣技を教えたことで有名です。忠利は柳生宗矩の弟子でしたが、主水からの指導を受けたことで急速に上達しました。ある時、忠利が江戸城に向かう際、主水が行列の先頭に立つことで混雑を避け、スムーズに移動することができたという逸話があります。この際、主水の「心の一方」の技術が活かされたとされています。

また、忠利が熊本に入部する際には、主水はその地位と道場を持つこととなり、多くの藩士を養成しました。この頃、加藤家の浪人を受け入れる細川家には豪傑が多く、彼の存在も一気に注目を集めるようになりました。しかし、主水の傍若無人な振る舞いは、周囲との摩擦を生む原因にもなりました。

主水の転機と不幸

忠利と彼の父である三斎との折り合いが悪く、家中の不和もひどくなる中、主水はある出来事から三斎側の船に乗り込み大暴れをする事態に至りました。この行動が三斎の怒りを買い、彼は主水の暗殺を命じます。忠利は主水を光円寺に隠しましたが、結局、寛永12年（1635年）10月に暗殺される運命を辿ります。主水は襲撃される時に「卑怯っ」と叫びながら、一瞬の勇気を見せましたが、力尽きてしまいます。

主水の弟子とその影響

松山主水の高弟として知られたのは村上吉之丞であり、彼は主水の死後も剣術の道を歩みました。一説には吉之丞は性格に問題があり、主水は彼に奥伝を伝えなかったとも言われていますが、それでも彼は剣術に優れていたと伝えられています。吉之丞は宮本武蔵との試合に挑み、武蔵が逃げたという逸話もあります。

主水が登場する作品

松山主水の存在は多くの文献や作品にも取り上げられています。小説『それからの武蔵』やドラマ『徳川剣豪伝 それからの武蔵』など、彼の活躍や武士としての姿を描いた作品は多岐にわたります。

総じて、松山主水は江戸時代の剣術界に多大な影響を与えた人物であり、彼の生涯は今なお多くの人々に語り継がれています。

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