柳美里

柳 美里（ゆう みり）

柳美里（ゆう みり、1968年6月22日生まれ）は、在日韓国人として知られる劇作家および小説家であり、韓国国籍を有しています。現在、彼女は南相馬市を拠点に活動しており、演劇ユニット「青春五月党」の主宰者でもあります。横浜市中区で生まれ育った彼女は、横浜共立学園高等学校を中退した後、若くして演劇の世界に身を投じました。1993年、彼女は岸田國士戯曲賞を受賞し、その翌年には小説家としてのキャリアをスタートさせました。特に1997年には、小説『家族シネマ』が芥川賞を受賞し、在日韓国人作家としての地位を固めました。

幼少期からの経歴

柳美里は、茨城県土浦市で生まれ、家族の影響で横浜市に移り住みました。彼女の祖父は韓国で靴屋を営んでおり、健脚の持ち主であったことから、かつて幻の東京五輪のマラソン選手候補にもなったと言われています。父親は祖父が経営するパチンコ店で釘師として働いていましたが、祖父が韓国に帰国した影響で失職しました。彼女は幼少期から家庭の躍動感に触れながら、早い段階での挫折や挑戦を経験しました。

演劇と文学におけるキャリア

彼女は1983年に横浜共立学園高等学校に入学するも、いじめを受け中退。その後、ミュージカル劇団「東京キッドブラザース」に入団し、演劇の世界へと進みました。特に、1987年には自身の演劇ユニット「青春五月党」を創立し、劇作家としての道を歩み始めました。デビュー作『水の中の友へ』を経て、1993年には『魚の祭』で岸田國士戯曲賞を最年少で受賞。小説家としては、1994年に発表した処女作『石に泳ぐ魚』で注目を集めましたが、内容に関する訴訟問題も抱えました。この経験は、彼女の作品の影響力を浮かび上がらせる結果となりました。

賞歴と代表作

彼女の代表作には、芥川賞受賞作『家族シネマ』や『フルハウス』があり、特に前者は在日韓国人作家としての受賞がメディアの注目を集めました。その後も、文芸界での地位を確立し続け、ノンフィクションやエッセイも執筆。様々な文学賞を受賞し、作品は国内外で出版されています。

彼女の作品は、しばしば詩的だと評価される反面、過度に詩的だと批判されることもありますが、司馬遼太郎からは「研ぎ澄まされた文章」と称賛されました。2020年には『JR上野駅公園口』の英訳版が全米図書賞翻訳文学部門を受賞するなど、国境を越えてその評価は高まっています。

現在の活動

近年、柳は福島県南相馬市に居を構え、地域との交流も深めています。フェミニズムや表現の自由についての問題にも取り組んでおり、東日本大震災以降は被災地での活動を通じて多くの人々の声を聴くラジオ番組も放送しています。また、書店「フルハウス」を開店し、作家としてだけでなく地域貢献にも力を入れています。柳美里の人生と作品は、彼女のバックグラウンドや歴史を反映したものとなっており、今後の活動や新たな作品にも期待が寄せられています。

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