桂喜丸

上方落語家 桂喜丸 - 惜しまれつつ散った47年の人生 -

桂喜丸（かつら きまる、1956年7月19日 - 2004年44月14日）は、上方落語界を彩った人気落語家です。兵庫県加西市出身。本名は酒井公弘。

彼は、エリート街道まっしぐらの人生を送ることもできたはずです。法政大学工学部建築学科という難関を突破した高い学力と才能の持ち主でした。しかし、彼を惹きつけたのは、建築物ではなく、人々を笑わせ、心に響く言葉でした。大学時代には落語研究会に所属し、全国大会で優勝するほどの腕前だったといいます。

1981年、桂朝丸（現・二代目桂ざこば）に入門。師事した桂朝丸は、後に喜丸の才能を高く評価し、彼を支える存在となります。入門後も順風満帆なわけではありませんでした。地道な努力を重ね、1985年にはABC漫才落語新人コンクールで最優秀新人賞を受賞。才能を開花させ、着実に頭角を現していきます。

喜丸は、持ち前の明るさとユーモアのセンスで、多くのファンを獲得しました。同期の桂む雀、桂米平との落語会「むきへい隊」、桂小米朝（現・桂米團治）との「月とすっぽん」など、精力的に活動。出身地である加西市で開催された「きまやんの会」（後に「らくごDEわっしょい」と改名）や、東京での独演会「らくごDEきまる」など、独自の色を出しながら、着実にファンを増やしていきました。彼の落語は、技術の高さだけでなく、観客を惹きつける独特の雰囲気と、飾らない人柄が魅力でした。

しかし、彼の輝かしい経歴は、あまりにも早く幕を閉じます。2004年4月14日午後7時15分、脳内出血のため47歳という若さで亡くなりました。あまりにも突然の訃報に、落語界のみならず、多くのファンに衝撃が走りました。彼の葬儀では、師匠である桂ざこばが号泣する姿が報道され、彼の死を悼む人々の悲しみを象徴する出来事となりました。

桂喜丸は、短い生涯の中で、上方落語界に大きな足跡を残しました。彼の明るさとユーモア、そして落語への情熱は、多くの人の記憶に刻まれています。彼の死後も、彼の落語を愛する人々は、彼の作品を通じて、彼の生き様を感じ、その魅力を語り継いでいます。彼の公式ウェブサイト「らくごDEきまる」は、彼の落語への情熱と、ファンへの感謝の気持ちが感じられる、貴重な資料となっています。

参考文献：『上方落語家名鑑ぷらす上方噺』 出版文化社、2006年。ISBN 4-88338-351-2（ISBN-13 978-488338-351-1）

もう一度検索