桜木紫乃

桜木 紫乃（さくらぎ しの）

桜木紫乃は、1965年4月19日生まれで、日本の小説家および詩人である。彼女は北海道の釧路市で生まれた後、江別市に在住している。彼女の文学の歴史は、思春期の頃に内なる芸術家に目覚めたことから始まった。

経歴・人物

彼女は釧路市立北中学校を卒業後、北海道釧路東高等学校に進学し、そこで文芸クラブに所属。中学生時代には、作家原田康子の作品に影響を受け、文学への興味を深めていった。高校卒業後、裁判所でタイピストとして働いたが、24歳で結婚し、その後は専業主婦として子育てに専念。夫の仕事の関係で、数度の転居を経験し、子供も二人育てる。

27歳の時、二人目の子供を出産した後、小説執筆を始める。文芸誌「北海文学」の同人として活動し、2007年には『氷平線』で念願の単行本デビューを果たした。彼女はまた、金澤伊代という名前で詩作にも手を染めており、詩集をいくつか発表している。さらに、彼女は演歌歌手山内惠介の作詞も手掛けるなど、多岐にわたる才能を発揮している。

桜木はゴールデンボンバーの熱心なファンとしても知られ、直木三十五賞の受賞記者会見では鬼龍院翔が愛用するタミヤロゴ入りTシャツを着こなした。その後ラジオ番組で彼と対面し、ファン心理を思い起こさせるエピソードとなった。ストリップが好きであり、札幌の道頓堀劇場に通う程の熱心なファンでもあった。また、STVラジオの『貴族の時間』のリスナーでもあり、オンドレさくらぎという名でメッセージを投稿することもある。

2013年には釧路市の観光大使に任命され、さらにNHK北海道地方や北海道テレビ放送の放送番組審議会の委員を務めるなど、地域貢献にも尽力している。

作風

桜木の作品の大部分は、故郷である北海道、特に釧路市周辺の地形や文化を舞台にしている。彼女は「新官能派」の文学として知られ、性愛をテーマにした作品を多く執筆しているが、彼女の描く性愛には人間の本能に根ざした切なさや悲しみが表現されている点が特徴的だ。実家が理容室でありながら、15歳の時、父が釧路町でラブホテルを開業した経験から、性愛に対する比較的冷静な視点を形成したとも言われている。代表著作『ホテルローヤル』には、このラブホテルが登場し、彼女の作品には多くの性愛描写が含まれているが、それらは単なる官能ではなく、人間関係の複雑さを反映したものになっている。

文学賞受賞・候補歴

桜木は多くの文学賞を受賞し、その名を広めてきた。2001年には「瑠璃色のとき」で北海道新聞文学賞の候補となり、2002年には「雪虫」でオール讀物新人賞を受賞。さらに2013年には『ラブレス』が直木三十五賞の候補になり、同じく『ホテルローヤル』で直木三十五賞を受賞するなど、その評価は高い。2016年には『蛇行する月』で北海道ゆかりの本大賞を受賞し、2020年には『家族じまい』で中央公論文芸賞を獲得している。これらの受賞歴は、彼女の作家としての地位を確立するだけでなく、北海道文学への貢献をも示している。

代表作品

• - 『氷平線』（2007年）
• - 『風葬』（2008年）
• - 『恋肌』（2009年）
• - 『ラブレス』（2011年）
• - 『ホテルローヤル』（2013年）
• - 『家族じまい』（2020年）

桜木紫乃は、人生や愛情の本質を探求する作家であり、彼女の作品は、読む者に深い感動を与え続けている。

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