樊氏

樊氏について

樊氏（はん し、生没年不詳）は、中国後漢末期に活動していた女性であり、桂陽太守の趙範の兄嫁です。彼女についての詳細は正史『三国志』には記されていませんが、『三国志演義』や京劇などでその存在が語り継がれています。

樊氏の背景

樊氏は趙範の兄嫁で、未亡人としての身分を持っていました。彼女の名は正確には伝わっていませんが、彼女の美貌は「中華一の色香」と称されています。樊氏がどのような人生を送ったのかは、正史ではほとんど記録がなく、彼女の事績はほぼ謎に包まれています。

樊氏と趙雲の関係

樊氏が特に注目されるのは、彼女と有名な武将趙雲との関わりです。劉備が長江南岸を治めた際、趙範の位置は趙雲に引き継がれました。この際、趙範は樊氏を趙雲に引き合わせましたが、趙雲は「同姓であるため、兄であるあなたの妻と関係を持つことはできない」と言ってこの提案を辞退しました。このような返答は、趙雲の義理に対する強い姿勢を示しています。

趙雲には他の人々が彼に樊氏との結婚を促す声もありましたが、彼は「趙範は窮地に追い込まれた結果として降伏したに過ぎない」と冷静に見極めました。その後、趙範は逃亡し、趙雲はそれに対し無関心であったことからも、彼の毅然とした態度が伺えます。実際、樊氏がその後どうなったかについても記録は残されていません。

漢字と『三国志演義』における樊氏

小説『三国志演義』の第52回には樊氏が登場し、趙雲との関係が描かれていますが、正史同様に彼らが結ばれることはありません。この演義は作中での行動や出来事を通じて、樊氏のキャラクターや彼女が持つ美しさ、災難に遭った女性の象徴として位置づけています。

京劇と樊氏

京劇においても「取桂陽」という演目が存在し、樊氏と趙雲の物語が描かれています。内容は道徳的教訓を含むところが多く、演義と同様に二人は結ばれることはありませんが、しばしば樊氏の存在感が強調されています。特に2001年には、「京劇三国志スペシャル」で樊氏が文武両道に優れた女将軍として描かれ、趙雲と結婚するという新たな展開が示されました。

樊氏の家族

樊氏には樊虎という弟が登場する場合もあり、『2001年京劇三国志スペシャル』のオリジナルキャラクターとして設定されています。樊虎は外国人初のプロ京劇俳優・石山雄太によって演じられました。

民間伝承と作品

樊氏に関する民間伝承では、彼女は樊玉鳳、樊雲仙、樊娟といった異名を持つことが語られています。『長坂雄風』や『常山趙子龍』、漫画『火鳳燎原』など、多様な作品において彼女は趙雲の妻として描かれることもあります。

ゲームにおける樊氏

樊氏はさまざまなゲームにも登場しており、シミュレーションゲーム『三国志シリーズ』やアクションゲーム『三国趙雲伝』では彼女の名が使われています。また、『真・三國無双ブラスト』では樊玉鳳という名前で登場します。

まとめ

樊氏は後漢末期の混乱した時代に生きた一人の女性で、その存在は後世の文学や芸術において独自の影響を持つ人物です。彼女の物語は、美しさと毅然さ、そして複雑な人間関係によって彩られています。

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