樽前山

樽前山の概要

樽前山は、北海道道央地方の南部、支笏湖の南側、苫小牧市の北西に位置する活火山です。その標高は樽前ドームの1,041mで、日本二百名山の一つとしても知られています。

地理・特徴

樽前山は、最高点の樽前ドームとその周囲の三等三角点（樽前山）や一等三角点（樽前岳）を含み、支笏洞爺国立公園に属します。主な特徴は、樽前ドームと呼ばれる溶岩ドームで、その直径は約450m、高度差は約120mです。この独特な形状が、遠くからでも樽前山を特定しやすくしています。

山名の由来

樽前山の名称はアイヌ語に由来しており、特に「タオロマイ」という言葉が考えられています。これは「川岸の高いところ」を意味し、樽前川の水源を指していると言われています。地元では「たるまいさん」または「たるまいざん」と呼ばれることが一般的ですが、現在の表記「樽前」が普及しています。山に自生するイワブクロも「タルマイソウ」と呼ばれています。

火山活動の歴史

樽前山の火山活動は、約9,000年前から始まったとされ、3つの主要な活動期に分けられます。

1. 第1期: 約9,000年前に開始し、2回のプリニー式噴火を含む。
2. 第2期: 約6,500年の休眠後、約2,500年前から短期間に3回の噴火が発生。
3. 第3期: 江戸時代以降から現代に至るまでの活動。

特に1909年の噴火で形成された樽前溶岩ドームは、北海道の指定文化財として重要視されています。

有史以降の活動

有史に残る噴火も数多く、1667年や1739年など、大規模な噴火が周辺地域に影響を及ぼしました。特に1739年の噴火は、降下した火山灰が広範囲に及ぶなど、大きな被害を引き起こしたことが確認されています。近年でも1980年代から火山活動が観測されており、1996年には火山レベルの停止が呼びかけられています。

噴火の影響と防災

望ましい火山防災策が求められ、苫小牧市では複数の噴火想定が行われています。小噴火や中噴火、大噴火などの異なるシナリオに対して市街地地域の対策が練られています。

特に、強風が吹き抜ける南側斜面では風倒木の被害に注意が必要で、過去には多くの木が倒された事例もあります。

登山

樽前山の登山ルートは多岐にわたりますが、一般的には国道276号ルートからアクセスし、樽前山7合目までの道が利用されます。このルートは子供でも容易に登れるため、地元の小学校の遠足先としても人気です。また、近年ではトレイルランやマウンテンバイクを楽しむ登山者も増えてきていますが、危険を避けるため、関連する呼びかけも行われています。

樽前山はその独自の自然環境と歴史的背景が魅力的で、多くの観光客にも愛されています。

もう一度検索