水入り

水入り（みずいり）

水入りとは、大[[相撲]]において取組が長期化し、両力士が疲労のために進展が見られない状況で、一時的に取組を中断する行為を指します。この中断は、行司と審判員の合意の元に行われ、力士の疲労を緩和させる目的があります。特に「水入り」という言葉は、休憩中に力士が口にする力水に由来しています。水入りになることを「水が入る」と言うこともあります。

経緯とルール

水入りは審判規則第12条に基づいて運用されています。大[[相撲]]では、力士たちはその重い体重を活かし、相手に突進し、優位に立つ戦法を使用します。しかし、取組が長引くと、力士は疲労し、瞬発力を発揮できなくなることがあり、試合の進展が止まってしまうことがあります。一般的には、取組が4分を超えたあたりから膠着状態と判断され、その時に審判が合図を送り、水入りが決定されます。かつては2分30秒を越えた段階で水入りになることが多かったため、頻繁に行われていました。

水入りが適用される際、行司は双方の足の位置や組み方を注意深く観察し、その後、取組を中断させます。短時間の休憩が促され、再開時には水入り前の状況を再現した後、行司の「いいか、いいか」の声と共に取組が再開されます。この際、水入り前の状態が再現されていないと、両力士や審判員が行司に異議を唱えることも可能です。近年ではビデオ判定が導入され、映像の意見も判断基準の一つとなっています。休憩中の行司は、土俵上での状態をよく記憶しながら再開の瞬間を待ちます。

水入りの影響

再開後、勝負が早々に決する場合もありますが、再び長時間の取組に突入することがあります。もし再度水入りとなった場合は、審判委員の協議を経て、別の取組を挟む形で取り直しを行うことになります。実際に1978年の大関旭国と魁傑の試合や、2001年の武双山と琴光喜の試合など、特に注目された水入りの例があります。水入りが続いた場合は引き分けとされることもあります。

水入りの記録と頻度

幕下以下の取組では水入りは存在せず、代わりにその取組の二番後に取り直しとなります。最も長い取り組み時間を記録したのは、1951年の大起と二瀬山の対戦で、合計32分が記録されています。また、昭和以降で20分以上かかった取組もいくつか存在し、特に天竜と能代潟の試合は再戦が必要になりました。

最近では、2015年の照ノ富士と逸ノ城の戦いがあり、この際は翌場所でも水入りが発生し、2場所連続で同じ対戦の水入りが行われるのは60年振りのことでした。また、2023年の九州場所では、同場所で2回目の水入りが記録されています。

水入りを経験した力士の中で、戦後最多となるのは琴ノ若で4度の水入りの記録を持っています。1980年から約14年間水入りがない時期もありましたが、近年ではその頻度が増加しています。

水入りという制度は、力士たちの体調や安全を守るために不可欠な要素と言えるでしょう。

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