水島港

水島港：瀬戸内海の要衝、国際拠点港湾としての現在と未来

水島港は、岡山県倉敷市に位置する、岡山県が管理する重要な港湾です。国際拠点港湾および特定港として指定されており、瀬戸内海に面した地理的優位性を活かし、日本を代表する臨海工業地帯を支える役割を担っています。水島地区と玉島地区という二つの主要地区から構成され、それぞれ異なる機能を有しています。

水島地区：産業を支える工業港

水島地区は、主に工業港として機能しています。太平洋戦争期から整備が始まり、戦後、川崎製鉄（現JFEスチール）、三菱自動車工業、旭化成などの大企業が工場を立地させ、日本有数のコンビナートを形成しました。現在も多くの企業が生産拠点として利用しており、大型タンカーが接岸可能な公共岸壁なども整備されています。水島臨海鉄道による貨物輸送も盛んで、まさに産業の心臓部としての役割を果たしています。西埠頭1号岸壁（水深10m、延長185m）など、複数の公共岸壁が利用可能です。

水島地区の主な施設

西埠頭1号岸壁
西埠頭2号岸壁
東公共岸壁
水島港湾合同庁舎
その他、海上保安部、税関、検疫所などの関連機関

玉島地区：国際物流拠点としての発展

玉島地区は、商港としての機能が強く、国際的な物流拠点としての発展が目覚ましいです。水島地区よりも多くの公共岸壁が整備されており、特に「玉島ハーバーアイランド」を中心とした開発が大きく進みました。複数の公共埠頭、ガントリークレーン、コンテナターミナルなど、近代的な港湾設備が整えられています。3号埠頭岸壁（水深10m、延長185m）、玉島6号埠頭岸壁（水深12m、延長390m、コンテナヤード・ガントリークレーン4基）など、大規模な岸壁が特徴的です。また、江戸時代からの歴史的街並みを残す旧玉島市街地にも近接しており、古き良き文化と近代的な港湾施設が調和する独特の景観が形成されています。

玉島地区の主な施設

3号埠頭岸壁
1号埠頭岸壁
玉島1号外貿岸壁
4号埠頭岸壁
玉島外貿1号埠頭岸壁
玉島4号埠頭岸壁
玉島6号埠頭岸壁
玉島7号埠頭岸壁
中国地方整備局宇野港湾事務所 水島港分室

航路と港勢

水島港は、国際コンテナターミナルを中心に、中国、韓国、台湾、ベトナム、タイなどアジア諸国と活発な貿易を行っています。21もの定期航路が就航しており、海上輸送の要衝として機能しています。旅客航路は現在ありませんが、クルーズ船の寄港など、観光面での利用も増えています。

2004年度の港湾取扱貨物量は全国4位を記録するなど、その規模は非常に大きいです。輸出は化学製品、機械類、鉱物が中心で、輸入は鉱物、化学製品、農水産物などが主となっています。

未来への展望

近年は、近隣の港湾との競争激化も背景に、アジア諸国をターゲットとした物流拠点強化が図られています。岡山空港との連携も視野に入れ、さらなる港湾機能の向上を目指しています。また、水島地区に集中する港湾機関の一部が将来的に玉島地区に移転する可能性も示唆されています。周辺道路の整備なども進められており、水島港の更なる発展が期待されます。市民向け施設の整備も計画されており、港湾と地域の共存を目指した取り組みが進行中です。

歴史

水島港の歴史は古く、江戸時代には高梁川河口周辺の島々が水上交通の中継地として栄えていました。玉島地区は備中松山藩や岡山藩の重要な港として発展し、明治時代には税関などの機関も設置されました。しかし、大型船舶の増加に伴い、水深の浅い玉島港は機能を失っていき、水島地区に新たな港湾が整備されることになりました。

過去の出来事

1974年には三菱石油水島製油所での大規模な重油流出事故が発生し、瀬戸内海に大きな被害を与えました。この事故を教訓に、環境保護への意識も高まっています。

水島港は、歴史と現在、そして未来を見据えた、発展を続ける重要な港湾なのです。

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