海洋気象台

海洋気象台とは

海洋気象台は、かつて日本に存在した気象台の一種で、主に海洋観測や海上気象観測、海上警報の発表を行っていました。気象庁の地方支分部局の一つであり、管区気象台と同等の組織とされていました。最盛期には、日本国内に4か所設置されていましたが、2013年に組織改編によりすべて廃止されました。

設立の背景

海洋気象台の設立は、1920年に神戸で始まりました。当時、天気図を作成するためには、洋上での気象観測が不可欠であり、また、中央気象台（東京）よりも西側に拠点を置く必要がありました。海洋調査の必要性を強く認識していた岡田武松は、当時の中央気象台台長であった中村精男に海洋気象台の設置を進言しました。

また、第一次世界大戦後、気象電報の送受信環境が悪化し、中央気象台から遠い西日本では予報の伝達が遅れるという問題も発生していました。そのため、西日本にも拠点を設ける必要性が高まっていました。

世界的に見ても「海洋気象台」という名称の施設は珍しいですが、ドイツにはハンブルクにドイツ海洋気象台（Deutsche Seewarte）という先例がありました。日本で初めて天気図を作成したエルヴィン・クニッピングは同所と深い関係があり、また、中村もドイツ留学中に同所で研究を行うなど、大きな影響を受けていました。

設立から廃止まで

1918年、文部省は海洋気象台の設立を認めましたが、建設費の調達に苦慮しました。しかし、活況を呈していた海運業者からの出資によって、建物と無線施設が建設され、1920年8月25日に神戸海洋気象台が開設されました。1922年12月には、世界初の気象専用放送として船舶向けの送信を開始しました。

戦時中には、函館気候測量所が函館海洋気象台となり、既存の海洋気象台は神戸海洋気象台と名称を変更しました。戦後には、長崎と舞鶴にもそれぞれ長崎海洋気象台、舞鶴海洋気象台が設置され、気象庁とこれら4つの海洋気象台が日本周辺海域を5つに分割して、それぞれ担当することになりました。

組織上は管区気象台と同格でしたが、気象業務の一部は管区気象台の管轄下に置かれていました。

組織改編と廃止

2013年1月、同年10月から、神戸、函館、長崎の三海洋気象台を地方気象台に改組し、海洋気象業務を大阪、福岡、札幌の各管区気象台に移管することが決定しました。舞鶴海洋気象台は廃止され、新たに本庁組織の日本海海洋気象センターが設置されました。

この改編に先立ち、京都府では、1つの府県予報区に2つの気象台が存在するという特異な状況を解消するため、2012年3月28日に舞鶴海洋気象台の地上気象業務の管轄区域であった京都府北部での予報等発表業務を、京都地方気象台に移管しました。

2013年10月1日、組織変更が実施され、4つの海洋気象台はすべて廃止されました。

海洋気象台の一覧

神戸海洋気象台
函館海洋気象台
長崎海洋気象台
舞鶴海洋気象台

関連項目

地方気象台

出典

気象庁ホームページ
過去の気象庁資料
関連書籍

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