漏電

漏電とは

漏電とは、電気回路において、本来流れるべき経路以外に電流が流れてしまう現象を指します。これは、絶縁体の劣化や破損、外部からの要因によって発生し、感電、火災、電力損失など、様々なトラブルの原因となります。短絡とは異なり、回路の一部分が直接繋がってしまう現象ではありません。

漏電の概要

漏電は、電気回路の信頼性を損なう重大な問題です。そのため、信頼性設計の観点から、様々な予防策が講じられます。具体的には、以下のような対策があります。

絶縁の強化: 電気回路の絶縁を徹底し、絶縁体の強度を高めたり、二重三重の絶縁構造を採用します。
漏電時の被害抑制: 接地など、漏電が発生した場合の被害を最小限に抑えるための機構を組み込みます。

配電線などでは、漏電の初期段階では気づきにくく、原因箇所の特定も困難なため、定期的な検査が重要となります。また、設計段階で予期しない利用状況も考慮し、専門知識のない人が使用しても安全な設計（フールプルーフ）をすることが求められます。特に家電製品など、一般家庭で広く利用される製品では、様々な安全対策が施されています。

漏電の原因

漏電は様々な原因によって引き起こされます。主な原因としては、以下のようなものが挙げられます。

不適切な電気工事: 電気工事の不備が原因となることがあります。
絶縁体の劣化・破損: 絶縁体が経年劣化や破損によって絶縁性能を失うことがあります。
水濡れ: 水は電気を通しやすいため、電気機器が水に濡れると漏電しやすくなります。特に、生活用水には電解質が含まれているため、注意が必要です。
塩害: 海に近い地域では、塩分が電気機器に付着し、絶縁性能を低下させたり、腐食を引き起こすことがあります。
アースの誤用: アースの接続が誤っていると、漏電の原因となることがあります。
動物による被害: 昆虫やネズミなどがケーブルを破損することで漏電することがあります。
トラッキング現象: コンセントの露出部分にホコリが蓄積し、湿気を帯びることで漏電することがあります。
電子回路の結露: 電子回路では、結露によって設計外の場所に電流が流れ、機器の異常動作を引き起こすことがあります。

漏電に関連する現象

漏電によって様々な現象が発生します。代表的なものとして、以下のようなものが挙げられます。

感電: 漏電した箇所に触れると感電する危険性があります。特に家庭用電源は危険度が高く、注意が必要です。素人修理や改造は絶対に行わないようにしましょう。
火災: 漏電によって発生した熱が、可燃物に引火して火災を引き起こすことがあります。特に、たこ足配線など、過剰な電気の使用は、火災の原因となりやすいです。
電力損失: 漏電によって電力が無駄に消費され、電気代が高くなることがあります。
停電: 漏電遮断器が作動し、停電が発生することがあります。

乾電池や二次電池は、電圧が低いため、漏電による感電のリスクは低いですが、短絡によって大電流が流れたり、発火や爆発、液漏れなどの危険性があります。

トラッキング現象

トラッキング現象とは、コンセントとプラグの隙間に溜まったホコリが湿気を帯びることで、漏電が発生する現象です。漏電部が沿面放電し、炭化することで発火の原因となります。特に、大型家電製品の裏側など、普段目にしない場所に発生しやすいため、定期的な清掃が重要です。また、たこ足配線は接点が増えるため、トラッキング火災のリスクを高めます。

アクアリウムなど水を使用する機器の周辺でも、漏電による火災が報告されています。コンセント部分にすすが付着している場合は、特に注意が必要です。

トラッキング現象を軽減するための対策として、ラバー製のコンセントカバーなどが販売されていますが、1年ごとの交換が推奨されています。ラバーが劣化すると、防塵効果が失われたり、逆に被害を拡大させる恐れがあります。

検査

漏電は、感電や火災を引き起こす危険性があるため、定期的な検査が必要です。新しい配電線を設置する際は、必ず漏電検査を行います。漏電検査には、絶縁抵抗計などの専用の機器が用いられます。また、漏電遮断器が作動した場合や、水害や漏水が発生した際にも、電気を使用する前に漏電検査を行う必要があります。

検査と悪徳商法

漏電検査を装って家庭を訪問し、料金を請求する悪徳商法があります。電力会社が予告なしに検査を行うことはありません。不審な訪問者が来た場合は、身分を確認し、最寄りの電力会社に問い合わせましょう。なお、電力会社は4年に1回、各家庭の漏電検査を行う義務がありますが、実際には委託業者が行っています。電力会社による検査は無料で行われます。

まとめ

漏電は、電気事故の大きな原因の一つです。この記事で解説した原因や対策を理解し、安全な電気使用を心がけましょう。少しでも異変を感じたら、専門業者に相談するようにしましょう。

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