潜入者

潜入者 (The Infiltrator)

『潜入者』（せんにゅうしゃ、The Infiltrator）は、2016年に公開されたアメリカ合衆国の犯罪映画です。ブラッド・ファーマンが監督を務め、ブライアン・クランストンが主演を務めています。この作品は、アメリカ税関の潜入捜査官であったロバート・メイザーが執筆した回顧録『The Infiltrator』を原作としています。

あらすじ

1980年代、南米コロンビアの麻薬王パブロ・エスコバルが率いる世界最大の麻薬カルテル、メデジン・カルテルは、大量の麻薬をアメリカに密輸しており、深刻な社会問題となっていました。これに対し、当時のレーガン大統領は「ドラッグ戦争」を宣言し、カルテル掃討に乗り出します。

1985年、アメリカ関税局職員のロバート・メイザーは、メデジン・カルテルの麻薬ルートが存在するフロリダ州南部の港町タンパで、潜入捜査による麻薬取締を行っていました。同僚からの情報提供をきっかけに、メイザーは麻薬の密輸ルートではなく、資金ルートを辿って組織を壊滅させるというアイデアを思いつきます。

そこで、メイザーはボブ・ムセラという偽名を使い、富豪になりすまして資金洗浄を持ちかけます。そして、金融ブローカーを通じてメデジン・カルテルの幹部であるロベルト・アルカイノにまで辿り着くことに成功します。捜査の過程で、メイザーはパナマのマヌエル・ノリエガ将軍や国際商業信用銀行(BCCI)がカルテルの資金洗浄に深く関与している事実を突き止めます。

一方、メイザーは金融ブローカーに手配された娼婦を拒否する口実として、「婚約者がいる」と発言してしまいます。その結果、同僚のキャシーが婚約者役として捜査に加わることになります。正体が発覚すれば、自身だけでなく家族も危険に晒されるというリスクに直面しながらも、メイザーはロベルトとの家族ぐるみの付き合いを通して、彼の「身内」に対する温かい接し方に戸惑いと罪悪感を覚えます。しかし、感情を押し殺し、メイザーとキャシーの「結婚式」にメデジン・カルテルの関係者とBCCIの幹部を招き、一網打尽にする計画を立てるのでした。

キャスト

ロバート・メイザー: ブライアン・クランストン（牛山茂）
エミール・アブレヴ: ジョン・レグイザモ（稲垣拓哉）
ロベルト・アルカイノ: ベンジャミン・ブラット（増元拓也）
キャシー・アーツ: ダイアン・クルーガー（有賀由樹子）

製作

ロバート・メイザーの回顧録の映画化が決定し、ブラッド・ファーマンが監督、ブライアン・クランストンが主演を務めることが発表されました。その後、ダイアン・クルーガー、ベンジャミン・ブラット、ジョン・レグイザモ、エイミー・ライアン、オリンピア・デュカキスなどのキャストが決定しました。

撮影

当初、フロリダ州タンパで撮影が開始される予定でしたが、ロンドンとパリでの撮影に変更されました。その後、フロリダでも撮影が行われました。

興行収入

全米で公開され、初週末に530万ドルの興行収入を記録し、週末興行収入ランキングで初登場8位となりました。

評価

批評家からは肯定的な評価を受けています。Rotten Tomatoesでは、批評家支持率69%、平均点6.4/10となっています。Metacriticでは、加重平均値は66/100となっています。

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