濃尾大橋

愛知県一宮市と岐阜県羽島市を結ぶ濃尾大橋は、木曽川に架かる主要な橋梁の一つです。主要地方道である岐阜県道・愛知県道18号大垣一宮線の一部として位置づけられています。この場所は、かつて中山道の脇往還として栄えた美濃路（美濃街道）のルートにあたり、橋が架けられる以前は「起渡船」と「駒塚渡船」という二つの渡船が利用されていました。しかし、濃尾大橋が完成した1956年（昭和31年）にこれらの渡船はその役割を終え、廃止されました。

濃尾大橋の建設は、1952年（昭和27年）に制定された道路整備特別措置法に基づき進められました。愛知県が手掛けた最初の一般有料道路事業の一つとして計画され、衣浦大橋などと共に建設が進められました。そして、1956年2月1日に衣浦大橋と同時に供用が開始され、料金の徴収が始まりました。有料道路として運用された期間を経て、1969年（昭和44年）4月1日には一般に無料開放され、現在に至ります。ちなみに、同じ県道18号のうち、揖斐川を渡る大垣大橋から長良川を渡る羽島大橋までの区間も「大垣羽島道路」としてかつて有料道路でした。

この橋の形式は、下路平行弦ワーレントラス橋です。全体の長さは777.7メートル、幅員は7.5メートルとなっています。建設時には1,971トンの鋼材が使用され、施工は横河橋梁製作所が担当しました。総事業費は約6億4千万円でした。橋の所在地は、愛知県一宮市起堤町と岐阜県羽島市正木町の間です。

濃尾大橋の両詰では、愛知県側の左岸下流側で愛知県道129号一宮津島線が、岐阜県側の右岸で岐阜県道184号下中笠松線がそれぞれ接続しています。両側の交差点には信号が設置されていますが、橋の構造上、右折のための専用車線が設けられていません。この構造的な問題に加え、交通量の増加も相まって、慢性的な渋滞が発生しやすい状況となっています。特に通勤時間帯などには混雑が深刻化しています。この長年の課題を解決するため、下流側に新たな橋である「新濃尾大橋」の架橋が計画されました。新橋は2025年（令和7年）5月24日に開通し、渋滞緩和への貢献が期待されています。

また、渋滞の一因としては、橋に至る道路の車線数のアンバランスも指摘されています。一宮側の道路は橋の手前約100メートルを除いて4車線が確保されているのに対し、羽島側では橋から約1キロメートルにわたって2車線のままであることが挙げられます。このため、羽島側の区間を含めた4車線化など、更なる道路構造の改善が求められています。

歴史を振り返ると、濃尾大橋は1952年12月に着工し、1956年1月28日に竣工（渡りぞめ式）を迎えました。その後、前述の通り1956年2月1日に供用開始と料金徴収が始まり、同年中には道路整備特別措置法の施行に伴い発足した日本道路公団に引き継がれました。1969年4月1日の無料開放後も地域の重要な交通路として機能していますが、近年では老朽化に伴う問題も発生しています。例えば、2013年（平成25年）8月13日には、車道に併設されている歩道橋に亀裂が発見され、安全確保のため一時的に歩道が通行止めとなる事態も発生しました。幸いにも現在は通行止めは解除されています。このように、濃尾大橋は地域の交通を長年支え続けている一方で、構造的な課題や老朽化への対応も必要な橋と言えます。

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