由布院温泉

由布院温泉：豊かな自然と洗練された街並みが調和する温泉郷

由布院温泉は、大分県由布市に位置する、由布岳の雄大な姿を見渡せる風光明媚な温泉地です。全国でも有数の温泉湧出量を誇り、単純温泉の豊富な湯量が、多くの観光客を魅了しています。

由布院温泉の成り立ちと発展

由布院温泉が観光地として発展を始めたのは、大正14年（1925年）に大分東線が延伸し、北由布駅（現在の由布院駅）が開業してからと言われています。それ以前は、ひなびた温泉地でしたが、交通網の整備によってアクセスが向上し、次第に避暑地として注目を集めるようになりました。

しかし、由布院温泉は、バブル期の開発ブームにも抗い、町ぐるみで環境保全に努めてきました。大型ホテルや歓楽街の乱立を避け、落ち着いた雰囲気を保ちながら、独自の観光路線を歩んできたのです。毎年夏には映画祭や音楽祭などのイベントを開催し、女性客を中心に人気を高めてきました。この戦略は成功し、由布院温泉は多くの調査で九州一の温泉地として評価されています。

温泉街の魅力：自然と調和した景観

由布院駅前から延びる「由布見通り」や、金鱗湖へと続く「湯の坪街道」には、おしゃれな雑貨店やレストランが軒を連ねています。周辺には美術館なども点在し、散策を楽しむことができます。近年は商店の出店が盛んで、地価も上昇を続けていることから、温泉街の活況が伺えます。

しかし、その人気ゆえに、外部資本の進出による景観の悪化も懸念されています。町は、自然と調和した環境を守りながら、観光客に質の高い体験を提供する方法を模索し続けています。

共同浴場：地元住民との触れ合い

由布院温泉は湯量が豊富であるため、多くの共同浴場が存在します。金鱗湖近くには、一般客も利用できる簡素な共同浴場「下ん湯」があり、地元住民との触れ合いを楽しむこともできます。

由布院温泉のランドマーク：由布岳と朝霧

温泉街を見下ろすようにそびえる由布岳は、由布院温泉のシンボル的存在です。また、山間の盆地特有の朝霧も、独特の幻想的な雰囲気を醸し出しています。

由布院温泉の歴史：交通網の整備と町づくりの取り組み

由布院温泉は、古くは別府十湯の一つに数えられていましたが、行政区画の変更により外れました。現在の発展は、大正時代の交通網整備によるところが大きく、特に小野金三郎氏らの尽力によって、由布院駅が由布岳を正面に望む場所に建設されたことは、現在の観光地の基盤となっています。

戦後の高度経済成長期においては、温泉地の歓楽街化に反対し、自然と環境を守りながら発展する道を選びました。ダム建設反対運動やゴルフ場建設計画への反対運動など、地元住民の強い意志によって、由布院温泉の自然環境は守られてきました。

欧州視察による知見や、地震発生後の辻馬車運行開始、音楽祭や映画祭などのイベント開催など、創意工夫を凝らした町づくりによって、由布院温泉は独自の個性と魅力を築き上げてきました。

近年の課題：観光客増加と環境保全

近年は、日帰り客や観光ツアー客の増加により、湯の坪街道は賑わいを見せていますが、同時に交通渋滞や環境問題などの課題も浮き彫りになっています。また、温泉偽装問題なども発生し、真にやすらぐ温泉郷としてのあり方を模索し続ける必要性を示しています。熊本地震による被害からの復興も大きな課題です。

2019年には、「湯布院温泉郷」として国民保養[[温泉地]]の指定が拡充され、塚原温泉、庄内温泉、挾間温泉を含めた広域的な連携による観光振興が期待されています。

アクセス

由布院温泉へのアクセスは、JR九州久大本線由布院駅が最寄りで大変便利です。バスや高速バス、自家用車でのアクセスも可能です。

まとめ

由布院温泉は、豊かな自然と洗練された街並みが調和した、魅力的な温泉地です。歴史と文化、そして自然を大切にした町づくりによって、多くの観光客を魅了し続けています。しかし、今後の発展のためには、観光客増加と環境保全のバランスを保ちながら、持続可能な観光のあり方を模索していくことが重要です。

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