登山家

登山家について

登山家とは、狭い意味ではヒマラヤの未踏峰の登頂に挑戦し、企業や大学の支援を受けることで名声を得ている人々を指します。これらの登山家は、その名声をもとに講演活動や著述、企業アドバイザー、または山岳ガイドとして生計を立てています。一方で、広義には登山やクライミング、山スキーを生活の中心にしている愛好者たちも含まれます。

日本における登山の歴史

日本の登山の歴史をたどると、修験道にまで遡ることができます。飛鳥時代の開祖役の行者が紀伊半島の大峰山で修行し、夜には空中を飛んで富士山で修行したと伝えられています。このように、古代から人々は山に特別な意義を見出してきました。江戸時代には富士講の二代目開祖の食行身禄が知られています。

明治・大正期には、槇有恒が日本山岳会の会長としてアイガーなどのアルプスで登攀を行い、登山用具の製造技術を日本に持ち帰りました。また、陸軍地図班の兵士たちも国内の多くの高峰を制覇しました。この時期は皇族の登山も盛んであり、秩父宮雍仁親王がスイスのマッターホルンに登ったことも有名です。

ヒマラヤへの挑戦

1930年代初頭には、三田幸夫がヒマラヤ登山の必要性を訴え、1936年には堀田弥一率いる立教大学の遠征隊がナンダ・コートの登頂に成功しました。これは戦前のヒマラヤ遠征の中で唯一の成功例となりました。戦後は今西錦司が隊長を務める京都大学探検隊がその活躍を見せました。

高度成長期に突入すると、1977年にはK2の登頂がなされ、各国の登山隊は国家単位の大編成が主流となっていきました。このような流れの中、個人の名前は次第に消え去っていきました。

現代の登山家

1980年代からバブル期にかけて、植村直己のような単独での極限登山を行う登山家や、三浦雄一郎のような冒険家が注目を集めました。しかし、平成以降、極限登山に挑む登山家の数は減少しています。その理由として、ヒマラヤの8000m級未踏峰がほぼ登頂されてしまったこと、企業の支援が減少したこと、そして観光地として整備されたヒマラヤでは未踏峰ルートの探求が制限されていることが挙げられます。曾曾元日本山岳会副会長の重広恒夫は、日本にはかつて100人以上のトップ登山家がいたが、現在は10人程度にまで減少したと指摘しています。

彼らは得た経験をもとに、山岳ガイドや登山学校経営、登山ショップの運営、または講演活動や著述を通じて生計を立てています。例えば、特異な建物の窓ふきを行う会社が設立されるなど、登山技術が他の業種でも活かされています。

海外での登山ガイド

フランスやスイスでは、高山ガイドになるためには国家資格が必要です。日本でも日本アルパインガイド協会が設立され、一定の資格認定が行われていますが、団体間の意識や技術の差が問題視されてきています。これに対して、登山を志す人たちの技術向上が求められています。

日本の登山家たちが直面する現実は、これからの登山文化や活動の発展にどう影響を与えていくのか、今後の動向に注目が集まっています。

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