白磁

白磁と青白磁の世界

白磁（はくじ）は、白色の素地に無色の釉薬を施した磁器の総称を指します。これは、ケイ酸とアルミニウムを主成分とする白色粘土を基に、植物灰と高陵石から精製した透明釉薬を加え、高温の還元炎で焼き上げることで生まれます。特に、青白磁（せいはくじ）はその中でも特別な存在であり、釉薬が文様の溝に滞留し、青みを帯びた美しい水色を呈します。青白磁の名品としては、宋代の景徳鎮で作られた梅瓶や香炉、鉢、水差などが挙げられ、これらは歴史的に宮廷や大名によって珍重されてきました。また、白磁や青白磁は日本においても、色の表現として日常的に使用されています。

歴史的背景

中国における白磁の起源

一般的には白磁の起源は560-570年代の北斉に遡るとされています。この頃、青磁の製造技術が成熟し、その流れと共に白磁が発展しました。さらに、北宋時代の定窯では、多くの白磁の名品が生産されるようになりました。興味深いことに、2009年に中国・河南省安陽市の西高穴2号墓から発見された壺に白磁の特徴が見られると、2019年に東京国立博物館が発表しました。この結果、白磁の起源はなんと300年以上さかのぼる可能性があると言われています。

約1000年ごろには、景徳鎮で微量の鉄分を含む釉薬を用いて青白磁（影青）が多く作られ、これは東アフリカにまで輸出されました。元代後半からは、白磁の素地に青い染付が施された青花（せいか）の生産が始まり、清代に入ると様々な窯で白磁の量産が進み、日用品として広く普及しました。

日本における白磁の発展

日本における白磁の製造技術は、16世紀頃に韓国から伝えられました。特に文禄・慶長の役の際に朝鮮半島から渡来した陶工によって、この技術が広まったという説が有力です。しかし、それ以前からも各地の窯業地で白磁の製造が試みられていました。1616年には肥前国の有田で白磁に適した土層が見つかり、李参平によって本格的な白磁の製造が定着しました。

時代が進むにつれ、白磁は染付の素地として利用されることが多く、幕末の文化・文政年間頃には日用品として広く普及しました。明治時代には、京の3代目陶工・清風与平が白磁の美を追求し、新たな境地を開拓しました。

朝鮮と欧州の影響

朝鮮では、李朝白磁という独特のスタイルが発展しました。欧州では、1709年にドイツのマイセンで白磁の製造が成功し、その後、この技術は各地に広がっていきました。

最後に

白磁と青白磁は、単なる磁器以上の価値を持ち、その背後には豊かな歴史と文化が息づいています。現代においても、これらの磁器は美術品としてだけではなく、日常生活にも深く根付いているのです。

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