矢作橋

矢作橋の歴史と文化

矢作橋は、愛知県岡崎市を流れる矢作川に架かる橋で、東海道（国道1号）が通る重要な交通路です。この地は古くから交通の要衝として栄え、その歴史は江戸時代初期にまで遡ります。

橋の概要

橋の東側に位置する八帖町は、八丁味噌の産地として知られ、橋のたもとには味噌工場が点在し、独特の香りを漂わせています。矢作橋は、慶長6年（1601年）に土[[橋]]として初めて架けられましたが、その後、度重なる洪水によって流失し、何度も改修を重ねてきました。江戸時代には、容易に橋を架けることができなかったため、矢作橋は日本最長の大橋として名を馳せました。
現在の矢作橋は、かつての東海道の橋よりもやや南側に位置しており、さらに南に下ると名鉄名古屋本線の鉄橋（矢作川橋梁）があります。1913年（大正2年）には、県の事業により旧橋よりも上流に新たな橋が架けられました。しかし、1945年（昭和20年）の三河地震で橋が崩落し、その後、1951年（昭和26年）に15代目の橋が竣工しました。

近代化と現在の橋

老朽化と耐震化の必要性から、2006年（平成18年）10月に新橋への架け替え工事が始まり、2011年（平成23年）3月13日に現在の16代目の橋が完成しました。新しい橋は、車道の幅が3.25mから3.5mに、歩道の幅が1.75mから3mに広がり、より安全で快適な通行が可能になりました。車線数は片側二車線で変わりありません。現代の矢作橋の橋長は300mです。

「出合之像」の物語

矢作橋には、豊臣秀吉（幼名：日吉丸）と蜂須賀正勝の出会いを描いた「出合之像」が設置されています。この像は、日吉丸が12歳の時に矢作橋の上で寝ていたところ、野武士の頭であった蜂須賀正勝と出会ったという伝説に基づいています。この出会いがきっかけで、日吉丸は蜂須賀正勝の手下になったと伝えられています。

この伝承は、『鉄道唱歌』東海道篇の歌詞にも登場するなど広く知られていますが、歴史学者の小和田哲男氏によると、この逸話は武内確斎作の『絵本太閤記』の創作であるとされています。実際には、矢作橋が架けられた1601年には、豊臣秀吉も蜂須賀正勝も既に亡くなっています。

1988年（昭和63年）12月、岡崎市の株式会社トーアの後藤真利社長が、市の西の入口を飾るモニュメントとしてこの像を寄付し、「出合之像」が製作されました。岡崎産のみかげ石で作られたこの像は、矢作橋の西詰め北側に設置され、1990年（平成2年）2月28日に除幕式が行われました。橋の架け替え工事のために一時的に撤去されましたが、2014年（平成26年）1月に元の場所に戻されました。

矢作橋の現在

現在の矢作橋は、単なる交通路としての役割だけでなく、地域の歴史と文化を伝える重要な場所となっています。周辺には、味噌工場や「出合之像」があり、観光客にとっても見どころの多いスポットです。橋の架け替えによって、より安全で快適な通行が可能になり、地域の発展に貢献しています。

矢作橋は、その長い歴史の中で、多くの人々の生活を支え、様々な物語を紡いできました。この橋は、これからも地域の人々にとってかけがえのない存在であり続けるでしょう。

参考文献

• - 『新編 岡崎市史 史料 近代下 10』新編岡崎市史編さん委員会、1987年9月30日、634-637頁。
• - 『新編 岡崎市史 総集編 20』新編岡崎市史編さん委員会、1993年3月15日、400頁、504頁頁。

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