磯部温泉

磯部温泉

磯部温泉は、群馬県安中市にある歴史ある温泉地です。温泉記号（♨）の発祥の地として知られ、そのシンボルは日本の温泉文化を象徴するものとなっています。温泉街は駅前に広がり、碓氷川に架かる愛妻橋や鉱泉橋からは、雄大な妙義山の景観を一望できます。

泉質

磯部温泉の泉質は、含銅・鉄(II) - ナトリウム - 塩化物・炭酸水素塩強塩温泉です。pH7.3〜7.5と中性で、肌に優しいのが特徴です。この泉質は、湯治にも適しており、古くから多くの人々に親しまれてきました。

温泉街

温泉街は、磯部駅前に位置しており、アクセスが非常に便利です。碓氷川沿いには、愛妻橋や鉱泉橋が架かっており、橋の上からは妙義山の美しい景色を望むことができます。特に、鉱泉橋の近くには足湯が設けられており、気軽に温泉を楽しむことができます。

また、愛妻橋の磯部駅側には、安中市が運営する日帰り入浴施設「恵みの湯」があります。ここでは、温泉だけでなく、砂塩風呂も楽しむことができます。この砂塩風呂は、磯部温泉の名物となっており、訪れた際にはぜひ体験したいものです。

歴史

磯部温泉は、その歴史も非常に興味深いものです。1661年（万治4年）には、江戸幕府が農民の土地の境界をめぐる訴訟に対して出した評決文の絵図に、磯部温泉の位置を示す湯気の記号が描かれており、これが温泉記号の発祥とされています。この記号は、現代でも日本の温泉文化を象徴するマークとして広く使われています。

1783年（天明3年）の浅間山の大噴火によって、湯量が増したとも伝えられています。しかし、源泉温度は時代とともに低下し、かつては沸かして利用されていましたが、後に新たな源泉が掘られ、温度の高い温泉が利用されるようになりました。

また、明治の児童文学者・巖谷小波が、磯部を訪れた際に舌切り雀の伝説を元に物語を書き上げたことから、磯部温泉は舌切雀伝説発祥の地としても知られています。温泉街にある「舌切雀のお宿ホテル磯部ガーデン」には、巖谷小波が詠んだ句碑が建てられています。

さらに、井上馨が外務大臣時代に磯部温泉を静養地としており、別邸を建設したという歴史もあります。この別邸は、後に興津に移築され、現在もその一部が残っています。

アクセス

磯部温泉へのアクセスは、鉄道と自動車が便利です。

鉄道: JR信越本線 磯部駅が最寄り駅です。
自動車: 上信越自動車道 松井田妙義ICから一般道を利用します。

その他

磯部温泉周辺では、昭和初期から妙義山の蜃気楼が目撃されることがあります。

また、磯部温泉の旅館出身の詩人、大手拓次は、北原白秋の三羽烏の一人として知られています。

名物

磯部温泉には、名物として知られるものがあります。

磯部せんべい: 温泉水を使って薄く焼いたせんべいで、お土産としても人気があります。
ふわとろ豆腐: 温泉水で煮込んだ湯豆腐で、とろけるような食感が特徴です。この豆腐は、旅館や店によって「鉱泉豆腐」などの名前で提供されています。

ギャラリー

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まとめ

磯部温泉は、温泉記号発祥の地という歴史的背景を持ち、美しい自然と豊かな文化が調和した魅力的な温泉地です。泉質の良い温泉だけでなく、舌切雀伝説や名物料理など、様々な楽しみ方ができます。ぜひ一度、磯部温泉を訪れて、その魅力を体験してみてください。

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