神々の指紋

書籍『神々の指紋』の概要

『神々の指紋』（かみがみのしもん）は、イギリスの作家グラハム・ハンコックによるノンフィクション書籍であり、主に超古代文明に関する内容を扱っています。1996年に翔泳社から単行本が出版され、その後小学館から文庫版も刊行されました。さらに、同書のコミカライズ版も登場し、特に小池書院から発表された「完全コミック版」は、多くの読者に受け入れられました。

この本は、世界中のオーパーツ（時代にそぐわないとされる遺物）を調査分析し、超古代文明が存在していた可能性を主張しています。ハンコックは、南極大陸の地下に現代よりも高度な文明があったと結論づけています。

発売からの反響

著作がイギリスで出版されると、わずか2週間で書籍ランキングのトップに立ちました。そして、この本は27言語に翻訳され、推定で300万部以上が売れたとされています。こうした人気を受け、ハンコックは超古代文明やオーパーツに関する著者として名を馳せました。

ただし、この書籍には多くの批判も寄せられています。ノンフィクションの名のもとに、多くの事実の捏造や、参考文献の誤りや歪曲が指摘され、学術的に信憑性を欠くとされています。特に、科学界や大学の関係者は本書を疑似科学であり、虚偽の歴史と評価しています。

批判の声

歴史学者の長谷川亮一氏は、ハンコックの主張に強い懸念を示し、アトランティスやムー大陸の説は単なる白人優越主義に基づく偽史であると指摘しています。彼は『神々の指紋』に対しても「従来のアトランティス大陸説の影響を受けており、白人優越感を助長する背景が見え隠れする」と述べています。

ASIOSの本城達也氏によると、ハンコックの著作は古代宇宙飛行士説を広めたエーリッヒ・フォン・デニケンの考えを踏襲しており、その根源にはチャールズ・フォートや近代神智学の創始者ヘレナ・P・ブラヴァツキーがいるとも述べています。

書誌情報

この書籍は複数の版で出版されています。単行本は以下のように刊行されました：

• - 上巻：大地舜訳、翔泳社（1996年2月、ISBN 4-88135-348-9）
• - 下巻：大地舜訳、翔泳社（1996年2月、ISBN 4-88135-349-7）
• - 上巻：大地舜訳、小学館（1999年5月、ISBN 4-09-403841-8）
• - 下巻：大地舜訳、小学館（1999年5月、ISBN 4-09-403842-6）

また、コミック版も数巻にわたって発表されており、1997年に出版された「完全コミック版」では、大地舜訳や村野守美がイラストを担当しました。これらの作品は、ハンコックの考えを視覚的に楽しむ形式で広く受け入れられています。

まとめ

『神々の指紋』は、超古代文明やオーパーツに関する魅力的な主張を展開し、多くの読者を惹きつけました。しかし、その内容は学問的には多くの異論を呼び起こし、学術界からは疑似科学として扱われています。この本に関する議論は根深く、単なる人気書籍の域を超えた広がりを見せるものとなっています。

もう一度検索