神戸中華同文学校

神戸中華同文学校：歴史と伝統を誇る神戸の中華学校

神戸中華同文学校は、兵庫県神戸市中央区に位置する、中華人民共和国系の学校です。1899年、梁啓超の提唱により神戸華僑同文学校として創立され、翌年には校舎が完成しました。当初は清朝政府の目を避けるため、日本の政治家・犬養毅が名誉校長を務めるなど、複雑な歴史的背景の中で歩んできました。

その後、神戸に点在していた華僑学校と合併を繰り返し、1939年に現在の神戸中華同文学校となりました。神戸大空襲で校舎を焼失するなど、幾多の困難を経験しながらも、神戸市の支援を受け、1946年に授業を再開、1959年には新校舎が落成しました。現在も、歴史と伝統を継承しながら、教育活動を続けています。

教育内容：中国語教育を軸に、国際的な視野も育成

神戸中華同文学校は、小1から中3まで中国語による教育を重視しています。社会、英語、算数、図工など、日本語科以外の授業はすべて中国語で行われ、独自の中国語教科書を使用しています。高校受験を控えた中学部は、日本の教科書を用いて日本語での試験も行いますが、授業は中国語で行われています。中国語に加え、中国の文化、歴史、地理なども学ぶため、他の学校よりも学習時間は長く、土曜日も授業があります。

国際性：多様な国籍の生徒と教師が共に学ぶ環境

神戸中華同文学校には、華僑の子弟だけでなく、中国、台湾、日本、韓国、朝鮮、アメリカ、カナダ、イギリス、ポルトガル、インド、シンガポール、ベトナムなど、世界12カ国以上の国籍を持つ生徒が在籍しています。教師も、中国や台湾だけでなく、日本やカナダなど多様な国籍の教員が在籍しており、国際色豊かな環境が特徴です。近年は日本人の入学希望者も増加傾向にありますが、華僑教育を重視しているため、定員を超える場合は入学試験を実施しています。約43%の生徒が卒業生の子弟であることも、学校の歴史と伝統の深さを物語っています。小中一貫教育で、各学年2クラス、630名の生徒が在籍しています。

中華人民共和国・中華民国との関係：中庸な立場を保つ

1949年の中国大陸における中華人民共和国の成立後、横浜の中華学校では大陸派と台湾派に分裂しましたが、神戸中華同文学校は中庸な立場を保ち、分裂を避けました。文化大革命期には、毛沢東語録が配布されなかったため、中国で批判されることもありましたが、政治教育は控えめです。現在では、中国政府関係者との交流も盛んに行われています。一方、中華民国とは交流はありませんが、日中国交正常化までは中華民国の国旗が掲げられていました。新校舎建設の際には、中華民国政府からの妨害もあったと言われています。現在も、中国の五星紅旗を掲揚するなど、複雑な歴史的背景の中で中庸の立場を保ちながら活動を続けています。

日本人入学：狭き門

日本人からの入学希望者もいますが、華僑教育を重視する同校では、華僑の子弟や卒業生の子弟が優先的に入学できます。そのため、日本人生徒は入学試験があり、入学は容易ではありません。学校教育法上「各種[[学校]]」であるため、財政的な制約から大規模な校舎の改築などが難しく、入学定員を増やすことができない要因の一つとなっています。しかし、卒業生の進学に関しては、以前は不利な面もありましたが、現在は改善され、全国中学校体育連盟にも加盟、運動部は兵庫県大会に出場するなど、卒業後の進路にも配慮されています。卒業生は同窓会を組織し、母校との繋がりを強く保っています。

校舎建設秘話：戦後の復興と地域社会の協力

神戸大空襲で校舎を焼失した同校は、戦後、神戸市立大開小学校の校舎を借りて授業を再開しました。しかし、神戸市の人口増加に伴い、校舎の返還を求められるようになり、新校舎建設が急務となりました。生徒や在神華僑からの募金活動を経て、1959年に新校舎が落成しました。現在も、部分的な改修を行いながら、半世紀近く使い続けています。

まとめ

神戸中華同文学校は、歴史的背景、教育方針、国際性、そして卒業生たちの活躍など、様々な側面から見て、非常に興味深い学校です。これからも、中国語教育と文化伝承の中心を担い続け、国際社会に貢献していくでしょう。

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