神戸松蔭大学

神戸松蔭大学（こうべしょういんだいがく）は、兵庫県神戸市灘区にキャンパスを構える私立大学です。その起源は1892年に遡り、英国聖公会からの宣教師たちによって設立された松蔭女学校を母体とし、1966年に大学として開学しました。日本聖公会と深いつながりを持つキリスト教主義（ミッションスクール）の学校です。

六甲山麓に位置するキャンパスからは、神戸の市街地や壮大な海を一望でき、自然豊かな環境の中で学ぶことができます。キャンパス内のレンガ造りの美しい校舎は、1983年に建築業協会賞（BCS賞）を受賞しており、その優れたデザインが高く評価されています。この特徴的な景観と建物は、大学のシンボルの一つとなっています。

大学は、伝統を継承しつつも時代の変化に対応しており、特に大きな転換点として、2025年4月にはそれまでの神戸松蔭女子学院大学から、現在の「神戸松蔭大学」へと名称を変更すると同時に、長年の女子大学としての歴史に新たな一章を加え、男女共学化を実現しました。これにより、より多様な学生が集う学び舎へと進化しています。

教育面では、文学部、人間科学部、教育学部の3学部を擁し、多様な分野の学びを提供しています。

文学部には、グローバル化に対応する「グローバルコミュニケーション学科」と、日本の言語文化を深く学ぶ「日本語日本文化学科」が設けられています。グローバルコミュニケーション学科は英語プロフェッショナル専修とグローバルコミュニケーション専修に分かれ、日本語日本文化学科には方言・日本語教育コース、文学・創作表現コース、書道コースがあります。

人間科学部は、「心理学科」、「人間科学科」、「ファッション・ハウジングデザイン学科」から構成されています。人間科学科は、人間環境、経済・経営、食マネジメント、地域ブランディングといった現代社会の多様な課題に対応する複数のコースを提供しています。

教育学部には「教育学科」があり、幼児教育専修と学校教育専修が設けられ、次世代を担う教育者の育成に力を入れています。

かつては文学部に総合文芸学科、人間科学部に子ども発達学科、生活学科、食物栄養学科などがありましたが、学科編成は時代の要請に合わせて再編されています。

大学院には文学研究科があり、英語学専攻、国語国文学専攻、心理学専攻の修士課程に加え、言語科学専攻の博士課程（現在は募集停止）が設けられ、より高度な研究・教育の機会を提供しています。

学術研究だけでなく、スポーツや文化活動においても目覚ましい実績を上げています。スポーツ分野では、ウィンブルドン優勝者を輩出したテニス部をはじめ、ソフトテニス部、卓球部（全日本大学総合選手権大会団体優勝経験あり）、なぎなた部（全日本学生団体戦で複数回の優勝）など、全国レベルで活躍するクラブが数多く存在します。文化系のクラブでは、書道部が全日本学書展で多数の賞を受賞するなど、高いレベルの成果を上げています。また、近隣の神戸大学とのサークル活動を通じた交流など、他大学との連携も活発に行われています。

沿革をたどると、1892年の松蔭女学校設立に始まり、中山手通への移転を経て、1915年には私立松蔭高等女学校が開校しました。戦後の学制改革により、1947年に松蔭女子専門学校、1950年には松蔭短期大学が設置され、学校法人松蔭女子学院が設立されたのは1951年です。大学は1966年に垂水区に設立されましたが、1980年代初頭には現在の六甲学舎への統合移転が完了し、キャンパスが集約されました。その後も大学院設置や学部の再編など、教育内容の充実に向けた歩みを続けています。1995年に大学名を神戸松蔭女子学院大学に変更し、創立100周年、120周年、130周年といった節目の記念行事も行われています。そして、2025年の共学化と名称変更に至るという歴史を刻んでいます。

著名な卒業生には、テニス界で国際的に活躍した沢松和子氏や沢松奈生子氏、ファッションデザイナーのコシノミチコ氏、女優の岸ユキ氏、楠見薫氏、書家の國重友美氏、アナウンサーの進藤晶子氏などがおり、多様な分野で多くの人材を社会に送り出しています（一部は短期大学部の卒業生）。

国際交流も積極的に行っており、韓国カトリック大学、北京外国語大学、オハイオ大学、ロンドン大学など、世界各国の大学と学術交流協定を結び、学生の国際的な視野を広げる機会を提供しています。

神戸松蔭大学は、系列校として松蔭中学校・高等学校を有しており、幼稚園・保育園を含め、一貫した教育を展開する学校法人の中で、高等教育機関としての役割を担っています。建学の精神に基づき、地域社会や国際社会に貢献できる人材育成を目指しています。

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