神田川俊郎

神田川俊郎：料理界の巨匠、その生涯と料理哲学

神田川俊郎（かんだがわ としろう）は、昭和を代表する日本料理人、料理研究家であり、実業家でした。本名を大竹俊郎といい、1939年11月15日に京都府京都市で生まれ、2021年4月25日に新型コロナウイルス感染症による肺炎で逝去しました。享年81歳。

人物

祖父が東京と京都で営んでいた鰻店の屋号「神田川」を通称名とし、素材やジャンルにとらわれない自由な発想と、「料理で人に喜んでもらうこと」を自身の喜びとしていました。テレビ出演、食品の監修、イメージキャラクター、食の講師、ディナーショー、講演会、料理本の監修、レシピの提供など、多岐にわたる活動を展開しました。

エバラ食品や伯方の塩、中村醸造酒造の昆布醤油、超旨い大吉豚まん、芙蓉のうどんあげなど、数々の食品のイメージキャラクターや監修を務め、アンドモワ株式会社の居酒屋チェーンではメニューを監修しました。各地の旅館やホテルで講演会やディナーショーを開催し、「四季の歌」や「河内男節」をアレンジした「お料理四季の歌」「神田川男節」を披露。「花に水、人に愛、料理は心」「○○も、ちょっとの工夫でこの美味さ」といった名言は、多くの人に親しまれました。

数多くのテレビ番組にも出演し、三波伸介が司会を務める「笑点」の料理コーナーや、「2時のワイドショー」「Beアップル2時!」の「神田川料理道場」では師範役を務めました。「料理の鉄人」では「神田川軍団」を率いて陳建一や道場六三郎などの鉄人と激戦を繰り広げ、人気を博しました。石川県輪島市のホテル高州園（現：ホテルこうしゅうえん）のローカルCMに出演していたこともあります。

後進の育成にも熱心で、店内で米の炊き方コンテストなどを主催し、料理の腕を競わせました。自身が若年期に厳しい指導を受けた経験から、「仕事の遅い者には容赦なく蹴りを入れる」と公言していましたが、これは愛情の裏返しとも言えるでしょう。2012年からは国内各地の高等学校調理科コースで名誉顧問を兼任し、調理師の育成に貢献しました。

柔道を嗜み、大相撲の愛好家としても知られていました。春場所にはほぼ毎回足を運び、2008年春場所中には朝青龍と記念撮影も行っています。錦鯉や熱帯魚などの観賞魚の飼育や鑑賞も趣味とし、専門誌で紹介されたこともあります。

野村克也や北野武とも親交が深く、特に北野武は神田川を「神田川のオヤジ」と呼び、親しんでいました。

来歴

京都市立近衛中学校を卒業後、高校には進学せず、大阪の「洗心亭」と「なだ万」で修業を積みました。その後、創作おでんの店で独立し、1965年に大阪府大阪市北区に和食料理屋「神田川」を開店しました。

28歳で結婚し、3人の子供をもうけましたが、後に熟年離婚を経験しています。

2021年4月16日、自宅の風呂場で倒れ、大阪市内の病院に救急搬送された際に、新型コロナウイルスの感染が判明し入院。入院当初は家族と会話もできていましたが、その後容態が悪化し、ECMOによる治療を受けました。一時的に回復したものの、容態が急変し、心臓の持病も影響して、4月25日に新型コロナウイルスによる肺炎で死去しました。感染防止のため、遺族は最期の顔を見ることもできず火葬され、家族葬が執り行われました。同年11月3日には、リーガロイヤルホテルで「お別れの会」が開催されました。

店舗

北新地には、日本料理屋・割烹『新日本料理 神田川本店』、フランス懐石『和ふらんす懐石 神田川』、『天ぷら懐石 味神田川』、『おでん懐石 雪月花 神田川』の4店舗があります。

神田川俊郎は、その革新的な料理と情熱的な人柄で、料理界に大きな足跡を残しました。彼の料理哲学と精神は、これからも多くの料理人に受け継がれていくことでしょう。

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