竜華操車場

竜華操車場：関西鉄道史を彩った貨物の中枢

1938年、大阪府八尾市に開設された竜華操車場は、関西本線における重要な貨物拠点でした。八尾駅と久宝寺駅間に位置し、城東貨物線（片町線貨物支線）と阪和貨物線（関西本線貨物支線）を介して吹田操車場や阪和線と接続。大阪南部の鉄道貨物輸送を支える中核的な役割を担っていました。

操車場から信号場へ、そして再開発へ

竜華操車場の設立は、湊町駅（現在のJR難波駅）の機関区・工場が手狭になったことがきっかけでした。約20万平方メートルの広大な敷地に建設され、完成時には1日1200両、のちには1600両の貨車の扱い能力を誇りました。しかし、ヤード経由式輸送の廃止に伴い、1984年には操車場としての機能を停止。1986年には竜華信号場へと格下げされ、1997年には完全に廃止されました。

その後、跡地は「大阪竜華都市拠点土地区画整理事業」として大規模な再開発が行われました。2006年に事業が完了し、病院、マンション、商業施設などが建設され、地域のランドスケープは大きく変わりました。再開発計画には、久宝寺駅の改良や八尾市立病院の移転なども含まれており、八尾市の中心部を活性化させるプロジェクトとして注目を集めました。現在では、跡地の一部に「龍華町」という地名が復活しています。

竜華機関区・客貨車区：車両の要衝

竜華操車場には、竜華機関区と竜華客貨車区が併設されていました。機関区には蒸気機関車から電気機関車まで、様々な車両が配置され、客貨車区では貨車や旅客車の整備・管理が行われていました。機関区所属車両には「竜」の略号、客貨車区所属車両には「天リウ」（天王寺鉄道管理局と竜華の電報略号）の記号が表記されていました。機関区は1939年に発足。1968年には電気機関車の修繕設備が完成し、鳳電車区からの転属が行われました。1972年には完全無煙化を達成。客貨車区は、湊町支区の廃止（1975年）、亀山・和歌山客貨車区の統合（1984年）、和歌山支区の廃止（1985年）などを経て、1986年には竜華操車場の廃止に伴い、組織改編が行われました。

隣接駅と路線

竜華信号場は、関西本線（大和路線）の八尾駅と久宝寺駅間に位置していました。また、阪和貨物線と城東貨物線にも接続しており、広範囲にわたる貨物輸送ネットワークを形成していました。

竜華操車場跡地の現在

再開発によって、竜華操車場の面影はほとんど残っていません。しかし、その跡地には新たな街が誕生し、八尾市の発展に貢献しています。マンション、病院、商業施設、スポーツ施設などが立ち並び、バスターミナルの整備も進み、周辺地域とのアクセスも向上しました。再開発によって、かつての鉄道輸送の要衝であった場所が、現代の都市空間へと変貌を遂げたことは、日本の都市発展の一側面を象徴する出来事と言えるでしょう。

参考資料

石野哲（編）『停車場変遷大事典 国鉄・JR編 Ⅱ』（JTB）
上楽隆『鉄道貨物輸送小史』（東神堂）
* 『国鉄車両配置表 '79』（交友社）

もう一度検索