笠間稲荷神社

笠間稲荷神社：関東屈指の信仰を集める歴史ある神社

茨城県笠間市に位置する笠間稲荷神社は、古くから五穀豊穣や商売繁盛の神として信仰を集め、関東地方のみならず全国から年間300万人以上の参拝客が訪れる、歴史と伝統を誇る神社です。旧社格は村社でしたが、現在は神社本庁の別表神社として、その地位を確立しています。別称として胡桃下稲荷や紋三郎稲荷の名でも親しまれています。

特に、正月の三が日には80万人以上の参拝者が訪れ、茨城県内で初詣参拝者数1位を記録するなど、その人気は絶大です。日本三大稲荷の一つとして数えられることも多く、その霊験あらたかな力に多くの信仰が集まっています。また、「笠間稲荷と佐白山」として茨城百景にも選定されており、自然と信仰が調和した美しい景観も魅力の一つです。

崇敬と歴史：悠久の信仰と発展

笠間稲荷神社の創建は、口碑によると孝徳天皇の白雉2年（651年）と伝えられています。現在の地にあった胡桃の木の下に創建されたとされ、古くからこの地に根付いた信仰の存在を示唆しています。文献記録は少ないものの、『笠間便覧』などの古文書には、佐白山にあった稲荷社を現在の地に移したという記述もあります。

江戸時代には、歴代笠間藩主から厚く崇敬され、藩主が転封しても分霊を新たな領地に祀るなど、庶民のみならず藩主からも篤い信仰を受けていました。特に、井上正賢の代から神社の隆盛が始まり、多くの寄付や整備が行われたことで、今日の笠間稲荷神社の礎が築かれたと言えるでしょう。

明治維新後、近代社格制度において旧村社に列せられましたが、その後も全国的に著名な神社としての地位を保ち続けました。明治23年からは境内で朝顔の展示会が開催され、明治41年には菊花の展示会が開始。現在では「笠間の菊まつり」として発展し、初詣と並んで年間80万人弱の観光客を集める一大イベントとなっています。

境内と祭事：神々への祈りと伝統

笠間稲荷神社の境内には、本殿の他に、聖徳殿、五末社など複数の社殿が点在しています。聖徳殿には聖徳太子、大黒天、事比羅社が合祀されており、その他にも月読神社、白山神社、菅原神社、粟島神社、山倉神社など、様々な神々が祀られています。

例祭は4月9日に行われ、創建日とされているこの日には、盛大な祭事が行われます。菊まつり期間中にも神事流鏑馬、奉納笠間示現流居合抜刀術、大和古流奉納式、舞楽祭など、伝統的な神事が数多く奉納されます。これらの神事は、地域の文化と信仰を繋ぐ重要な役割を担っています。

東京別社：信仰の輪の拡がり

東京都中央区日本橋浜町には、笠間藩主牧野家が分霊を祀った東京別社があります。これは安政6年（1860年）、笠間藩邸内に祀られたのが始まりで、関東大震災や東京大空襲による焼失を乗り越え、現在に至っています。本殿の左側には寿老神が祀られており、日本橋七福神の一つにも数えられています。

文化財と坂本九とのゆかり

笠間稲荷神社の本殿は、万延元年（1860年）建立の建造物で、国の重要文化財に指定されています。また、大鳥居は稲田石を用いて1990年に建立されましたが、地震による損壊後、再建され、現在の高さは約10メートルに及んでいます。

さらに、歌手・坂本九氏はこの神社を深く信仰しており、幼少期の体験から終生信仰を続け、結婚式もここで執り行われました。日本航空123便墜落事故の際、遺体の身元確認に役立ったのが、坂本氏が胸に下げていた「笠間稲荷」と刻まれたペンダントだったという逸話も残っています。

アクセス

笠間稲荷神社へのアクセスは、自動車、鉄道、高速バスなど様々な方法があります。北[[関東自動車道]]や常磐自動車道からのアクセスも良好で、駐車場も充実しています。JR水戸線笠間駅からはタクシーで約5分、徒歩で約20分です。

笠間稲荷神社は、歴史、信仰、文化、そして自然が織りなす魅力的な場所です。多くの観光客が訪れ、神々への祈りと静寂に包まれた空間は、心安らぐひとときを提供してくれるでしょう。

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