第一紙行

株式会社第一紙行：再生への軌跡

株式会社第一紙行は、京都市に本社を置く広告、企画、デザインを専門とする老舗企業です。特に流通業界への広告展開に強みを持ち、長年にわたってその実績を積み重ねてきました。しかし、主要取引先の経営破綻という大きな打撃を受け、2001年9月、70億円にのぼる負債を抱え、民事再生法の適用を申請せざるを得ない状況に陥りました。

この危機的状況の中、第一紙行は、日本政策投資銀行と第一勧業銀行からのDIPファイナンス（Debtor-in-Possession Financing：民事再生手続き中の企業への融資）を受け、事業再建に向けた取り組みを開始しました。DIPファイナンスは、企業の再生を支援するための重要な資金源となり、第一紙行の事業継続に大きく貢献しました。徹底したコスト削減や事業構造の改革、新たな顧客開拓など、経営陣はあらゆる手段を講じました。

そして、粘り強い努力の末、2005年8月、京都地方裁判所より民事再生手続終結の認可を受けました。これは、関係者全員の尽力と、再建計画の着実な実行によって勝ち取った成果と言えるでしょう。しかし、再生はここで終わらなかったのです。

更なる成長を目指し、2008年4月には、日本政策投資銀行、南都銀行、みずほ銀行によるEXITファイナンス（民事再生手続き終了後の資金調達）を受け、再生債務の一括繰上弁済を実行。これにより、第一紙行は再生手続を完全に終了し、新たなステージへと進みました。

現在、代表取締役社長を務めるのは金子道宏氏です。第一紙行は、本社を京都市中京区に置き、東京、名古屋、九州、仙台に支店を展開するまでに成長しています。

第一紙行の歴史は、困難を乗り越える企業の力強さを象徴するものです。その過程には、関係各所の支援、従業員の献身、そして経営陣の決断と実行力という多くの要素が絡み合っていました。

興味深いことに、世界的に有名な漫画家、鳥山明氏は、1974年から1977年にかけて、名古屋支店でデザイナーとして勤務していた経験があります。第一紙行で培ったデザインスキルが、後の彼の成功に少なからず影響を与えた可能性も考えられます。

第一紙行は、過去の苦境を乗り越え、現在も広告業界でその地位を確立しています。その歴史と再生への取り組みは、経営学の事例としても貴重な教材となるでしょう。今後の更なる発展が期待されます。

事業所

本社：京都市中京区
東京支店：東京都中央区
名古屋支店：名古屋市西区
九州支店：福岡市博多区
仙台支店：仙台市青葉区

沿革

1946年2月：創業
1949年10月：設立
2001年9月：民事再生手続き申請
2005年8月：民事再生手続終結の認可
2008年4月：EXITファイナンス適用、再生債務の一括繰上弁済実行、再生手続終了

関連事項

鳥山明：デザイナーとして1974年4月～1977年1月在籍（名古屋支店）
京都商工会議所 中小企業のためのホームページコンテスト京都2003 法人の部 佳作入選：暦コム分

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