範子内親王

範子内親王について

範子内親王（はんし（のりこ）ないしんのう）は、平安時代の最後から鎌倉時代初期にかけて活躍した皇女で、賀茂斎院や女院として知られています。彼女は治承元年11月6日（1177年11月27日）に生まれ、高倉天皇の第二皇女であり、母は小督（藤原成範女）という女性です。異母弟に安徳天皇と後鳥羽天皇がいます。彼女には六角宮、猫間斎院、皇后宮といった異名もあり、後には坊門院（ぼうもんいん）という院号を与えられました。

経歴

範子内親王の生い立ちは波乱に満ちています。父の高倉天皇と寵妃の小督との間に生まれるものの、母は出産後に平清盛らに迫害され、早々に出家することとなります。皇女は猫間中納言藤原光隆の住まいで育てられることになりました。治承2年（1178年）には内親王に宣下され、賀茂斎院に選ばれます。二年後の治承4年（1180年）からは紫野院に入居し、それ以降も安全な住まいを求めて様々な場所を転々としました。養和元年（1181年）には高倉院の死去により斎院を離れることになります。

その後は、安定を求めて頌子内親王の五辻第を居住地として選びます。この時には、平家が滅ぶなど環境が著しく改善されました。建久6年（1195年）には准三后の待遇を受け、建久9年（1198年）には土御門天皇（後鳥羽院の第1皇子）の即位に伴い、准母として皇后の地位に就きます。そして建永元年（1206年）には院号の宣下が行われました。しかし、範子内親王は承元4年4月12日（1210年5月13日）に一条室町第で病を患い、亡くなりました。

逸話

範子内親王には、彼女に仕える女房たちとの興味深い逸話が残されています。彼女は特に蒔絵師を好んでいたようで、ある日、蒔絵師に手紙を送り、彼が訪問するように指示しました。しかし、蒔絵師からの返事は、「今ちょうど御道具に蒔絵を描きかけているところですので、仕事が終わったら伺います」といったものでした。この内容を、坊門院に仕える女性が誤って解釈し、「今ちょうど子持ちの女と共寝しようとしかけたところですので、それが終わったら伺います」としてしまったのです。この誤解が大騒動に繋がり、範子内親王は蒔絵師を呼びつける事態に発展しました。このユーモラスなエピソードは、範子内親王の人間味あふれる一面を浮き彫りにしています。

範子内親王の人生は、平安時代末期から鎌倉時代初期という tumultuous な時期における女性の生き様を象徴しています。彼女の経歴や逸話は、時代背景を照らし出す重要な文化財として今も語り継がれています。

もう一度検索