篠田謙一

篠田謙一

篠田謙一（1955年10月20日 - ）は、日本の著名な分子人類学者であり、医学博士です。現在は国立科学博物館の館長を務め、人類の起源や進化、日本人のルーツに関する研究を精力的に行っています。

経歴

篠田氏は静岡県に生まれ、幼少期を新潟で過ごしました。1979年に京都大学理学部を卒業後、産業医科大学解剖学講座の助手、佐賀医科大学解剖学講座の助手、講師、助教授を経て、1996年に「マカク属近縁数種の長管骨のアロメトリーについて」の研究で佐賀医科大学から医学博士号を取得しました。

2003年からは国立科学博物館に勤務し、人類第一研究室室長、研究部研究主幹、人類史研究グループ長、人類研究部研究グループ長、研究主幹、人類研究部長、副館長を歴任し、2021年に館長に就任しました。また、京都大学および放送大学の客員教授も務めています。2016年11月から2020年10月まで日本人類学会会長を務めました。

研究内容

篠田氏の研究は、分子人類学的手法を用いた人類史の解明に焦点を当てています。特に、ミトコンドリアDNAの解析を通じて、古代人の移動や系統関係を明らかにする研究で知られています。

1998年からは、南アメリカのミイラのミトコンドリアDNAを解析し、スペインによる征服以前のアンデス先住民の社会構造を研究しました。また、日本の縄文人骨や周辺諸国の古代人骨からミトコンドリアDNAのハプログループを解析し、アフリカで発生した現生人類がどのように地球全域に拡散したのかを調査研究しています。この研究を通じて、日本人の祖先がどのような経路で日本列島に到達したのか、そのルーツを探る研究に貢献しています。

著書・メディア出演

篠田氏は、研究成果を広く社会に発信することにも力を入れています。著書を通じて一般読者にもわかりやすく解説するほか、テレビ番組にも多数出演し、人類の起源や進化に関する知識を普及に努めています。

著書

『日本人になった祖先たち—DNAから解明するその多元的構造』(2007年、日本放送出版協会・NHKブックス)
『DNAで語る日本人起源論』(2015年、岩波現代全書)
『江戸の骨は語る――甦った宣教師シドッチのDNA』(2018年、岩波書店)
『新版 日本人になった祖先たち―DNAが解明する多元的構造』(2019年、NHK出版)
『人類の起源』(2022年、中公新書)

テレビ番組出演

『サイエンスZERO 日本人の起源に迫る（ミトコンドリアDNAのタイプによる）』(2007年、NHK)
『爆笑問題のニッポンの教養 どこから来たのか ニッポンのヒト』(2008年、NHK)
『サイエンスZERO 人の謎に迫る（DNAが解き明かす! 人類の旅 ）』(2008年、NHK)
『タモリ教授のハテナの殿堂? DNA分析で人類のルーツが分かる!?』(2008年、日本テレビ)
『世界一受けたい授業』(2010年、日本テレビ)
『世界一受けたい授業SP29 新春使える知識ベスト100』(2011年、日本テレビ)
『サイエンスZERO 日本人のルーツ発見!～“核DNA解析”が解き明かす縄文人』(2016年、NHK Eテレ)
* 『又吉直樹のヘウレーカ! 僕はどこからきたのですか？』(2018年、NHK Eテレ)

これらの著書やメディア出演を通じて、篠田氏は分子人類学の知識を広め、人類の起源や進化に対する一般の関心を高めることに大きく貢献しています。

分子人類学の発展への貢献

篠田謙一氏は、分子人類学の分野において、日本の第一人者として多大な貢献をしてきました。その研究は、日本人のルーツ解明に留まらず、人類全体の起源や進化の過程を理解する上で重要な知見を提供しています。今後の研究活動にも注目が集まっています。

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