籠

籠：歴史、素材、用途、そして芸術性

籠は、竹、籐、柳、金属線など、細く柔軟な素材を編み込んで作られる容器です。その歴史は古く、紀元前9千年紀の中東において、絨毯制作にもその技術が用いられていた可能性が示唆されています。紀元前7千年紀にはオアシスアメリカでも籠編みが行われていた痕跡があり、紀元前30世紀にはその技術が広く普及していたと考えられています。

多様な素材と技法

籠の素材は多岐に渡ります。古くから使われてきた植物性の素材としては、籐（ラタン）、葦、竹、柳などが挙げられます。東洋では特に竹や柳が好んで用いられてきました。また、馬の毛や鯨ひげといった動物性の素材も使用された例があります。近代に入ると、針金、鋼線、真鍮、ステンレス、銅などの金属素材や、合成樹脂、熱可塑性樹脂といった人工素材も用いられるようになり、大量生産においては自然素材よりもこれらの素材が用いられる傾向にあります。

素材によって編み方も異なり、植物性素材の場合は、茎や蔓を加工してから編む、あるいは「へぎ板」と呼ばれる板状の素材を事前に作製してから編むなどの方法があります。農園のある地域では、ラタンやヤシ、パイナップル科の植物など、多様な素材が利用可能であり、これらがそれぞれの地域の籠作りの技術に影響を与えてきました。熟練の技によって作られる籠は、素材の色や種類、大きさ、模様、細部の仕上げなど、様々な要素において自由な表現が可能です。芸術性の高い作品も数多く存在します。

近年では、一般の人々も自作できるようになり、蔓や枝、樹皮、竹皮、わら、ワイヤーに加え、エコクラフトテープや細く丸めた広告チラシなども材料として利用されています。入門書なども刊行されており、気軽に挑戦できるようになっています。

幅広い用途

籠の主な用途は、収納や運搬です。家庭内での整理整頓、店頭での商品陳列など、様々な場面で活用されています。また、洗濯物入れ、ふるいなどの調理道具、農具（収穫物の収納、種や穀物の選別、家禽類の檻など）、漁具としても用いられてきました。さらに、ペットのベッドとしてクッションなどを入れて使用したり、宗教儀式に用いられることもあります。

その実用性と美しさから、籠はコレクターズアイテムとしても人気があります。地方によっては、女性が籠を頭上にのせて運搬する光景も見られ、ギリシア美術ではこれを「カネフォロス」と呼んでいます。

材料一覧

枝
籐（トウ）
ヤシ
竹
藁
金属
合成樹脂（プラスチック）
炭素繊維強化プラスチック

比喩表現

英語圏では、「to hell in a handbasket」という表現があり、「急速に悪化する」という意味で使われます。また、「basket」はイギリス英語において「婚外子」を意味することもあります。

籠は、単なる容器ではなく、人々の生活、文化、歴史と深く関わり合った存在です。その多様な素材、技法、用途、そして芸術性は、これからも人々を魅了し続けるでしょう。

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