紀元前7千年紀

紀元前7千年紀：世界各地で文明の夜明けが訪れた時代

紀元前7千年紀（西暦前7000年から紀元前6001年）は、人類史において重要な転換期となりました。この時代、世界各地で農耕が開始され、定住生活が普及し始め、様々な文化が花開いたのです。今からおよそ9000年前、世界ではどのような出来事が起こっていたのでしょうか。

各地の状況

南アジアでは、メヘルガル遺跡において紀元前7000年頃から紀元前5500年頃にかけて定住農耕生活が始まりました。これは、人類が狩猟採集生活から農耕生活へと移行する過程を示す重要な証拠となっています。

ヨーロッパ、特に北西ヨーロッパでは、森林地帯が広がり、狩猟採集民たちが生活していました。この時代は中石器時代と呼ばれ、狩猟技術の進歩が見られました。投げ槍に代わって弓矢が普及し、狩猟効率が向上したと考えられています。

北アメリカでは、温暖化の影響でマンモスなどの大型動物が姿を消し始めました。これに伴い、遊牧生活を送っていたインディアンの一部が定住し、農耕を始めるようになったと考えられています。

東アジアでは、中国の遼河流域で紀元前6200年頃、興隆窪文化が始まりました。これは中国文明の起源をさかのぼる上で重要な文化です。また、紀元前6000年頃には朝鮮半島でも新石器時代が始まりました。

日本では、縄文時代早期にあたります。この時代、温暖化が進行し、海水面が現代とほぼ同じ高さになる縄文海進が起こりました。縄文時代の遺跡からは、世界最古級とされる漆の装飾品やヒスイ製の敲石など、高度な技術を示す遺物が多数発見されています。

この時代の出来事

この時代には、世界各地で様々な出来事が起こりました。

中国黄河流域では、裴李崗文化が誕生し、アワなどの栽培が始まりました。河南省舞陽県の賈湖遺跡からは、当時の人々の生活の様子がわかる貴重な遺物が発掘されています。
イラン西部のガンジ・ダレ遺跡からは、「豊穣の女神像」と呼ばれる彫刻が出土しており、当時の人々の信仰や芸術性を垣間見ることができます。
ヨルダンのアイン・ガザル遺跡からは、「アイン・ガザルの像」と呼ばれる独特な彫刻が出土しています。
イスラエルのユダヤ砂漠からは、石製の仮面が発見されています。これは、当時の宗教儀式や埋葬儀礼を知る上で重要な資料です。
キプロス島のマロニ川沿いには、ヒロキティア遺跡と呼ばれる集落が形成されていました。
アルゼンチンのパタゴニア地方にあるクエバ・デ・ラス・マノス洞窟の壁画は、この時代から描かれ始めたと考えられています。
メソポタミアでは、最初の陶器が作られ、金や銅の利用が始まり、ウシの飼育も行われるようになりました。
中国では、アワの栽培やブタの飼育が始まり、世界最古級の笛なども発見されています。
* 日本では、神奈川県夏島貝塚から最古級の犬の化石が発見されています。

環境と技術

紀元前6500年頃には、ブリテン島がヨーロッパ大陸から分離して島となりました。また、紀元前6100年頃にはノルウェー海で巨大な地すべり（Storegga Slide）が発生し、大津波を引き起こしました。このような環境の変化は、当時の人々の生活に大きな影響を与えたと考えられています。

この時代には、様々な技術革新も起こりました。陶器や金属の利用、家畜の飼育など、これらの技術革新は、後の文明の発展に大きな役割を果たしました。

まとめ

紀元前7千年紀は、世界各地で農耕が始まり、定住生活が普及し、様々な文化が生まれた、人類史にとって非常に重要な時代でした。この時代は、後の文明の発展の基礎を築いた時代として、その歴史的意義は計り知れません。今後の研究によって、この時代の新たな発見が期待されます。

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