米田雄郎

米田雄郎: 大正・昭和の歌人

米田雄郎（よねだ ゆうろう）は、1891年11月1日に奈良県磯城郡川西村にて生まれました。彼の本名は米田菊次、またの名を米田雄還として知られています。歌人として短歌の世界で活躍し、多くのファンに愛されていました。彼の2番目の子供である米田登もまた、歌人として名を馳せています。

幼少期からの歩み

雄郎は農家の長男としての厳しい生活を送りましたが、その中でも学びへの情熱は旺盛でした。尋常小学校を卒業した後は、伯父が住職を務める法念寺に身を寄せ、そこでの生活は彼の感受性を豊かにしました。その後、1907年に大阪の上宮中学に進学し、ここで短歌との出会いが待っていました。

18歳の頃から短歌を作り始め、若山牧水の教えを受けて創作活動に励むことになります。この経験が彼の詩的表現の基盤を形作り、1911年に前田夕暮の白日社に入社した際には、すでに「雄郎」という筆名を用いるようになりました。彼の短歌は自由律と定型律を融合させたもので、多様な表現が特徴です。

短歌の創作活動

彼は歌集「日没」を1917年に発行し、本格的な歌人としての道を歩み始めます。その後、早稲田大学に進学しますが、短歌に専念するため中退し、1918年には滋賀県蒲生郡の浄土宗寺院・極楽寺の住職を務めることになります。ここでの経験は、彼の詩作にさらなる深みを与えました。教員としても活動し、地域に根ざした文学活動を行いました。

また、綺田町で画家の野口謙蔵との親しい友人関係を築き、この交流は互いの創作に大きく影響したとされています。1930年には歌集「朝の挨拶」、1935年には「青天人」を発表し、彼の短歌はますます評価を高めていきました。

文学活動の確立

1952年には「好日」を創刊し、滋賀文学会を設立。また、1956年には歌集「忘却」を出版し、短歌のもちろんの魅力をより多くの人々に伝える活動を続けました。彼の作品には、人生の喜びや悲しみ、人々を思いやる心が美しく表現されています。彼の代表的な歌には、春の訪れや仏教的な思索が見られ、特に以下のような詩が知られています。

• - 村人にお茶をくんであげる、おぼんの上のさくらの花びら
• - しづやかに輪廻生死の世なりけり春くる空のかすみしてけり

これらの歌は、彼の詩的世界観を教えてくれます。

最期の時

1959年3月5日、米田雄郎は68歳でこの世を去りました。彼の作品や活動は今なお多くの人々に影響を与え続けています。遺歌集には「終焉の地」や「米田雄郎全歌集」があり、彼の豊かな詩的遺産を今後も受け継いでいくことでしょう。

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