粕淵駅

粕淵駅（かすぶちえき）

粕淵駅は、かつて島根県邑智郡美郷町粕渕に存在した、西日本旅客鉄道（JR西日本）三江線の駅です。2018年4月1日の三江線全線廃止に伴い、その歴史に幕を閉じました。

駅名の由来と設置の背景

地名には俗字の「渕」が用いられていますが、駅名には正字の「淵」が使用されていました。粕淵駅は江の川の蛇行部分に位置し、当初の三江線計画では明塚駅からトンネルでショートカットされる予定でした。しかし、地元の熱心な誘致活動が実を結び、川沿いのルートに変更され、浜原駅と共に粕淵駅が設置されることとなりました。

歴史

1937年（昭和12年）10月20日：三江線の石見簗瀬駅 - 浜原駅間延伸に伴い、有人駅として開業。
1955年（昭和30年）3月31日：三江南線開業により、従来の三江線が三江北線に改称。当駅も同線の所属駅となる。
1975年（昭和50年）8月31日：江津駅 - 三次駅間が全通し、三江北線は現行の三江線の一部となり、当駅も同線の所属駅となる。
1987年（昭和62年）4月1日：国鉄分割民営化により、西日本旅客鉄道が継承。
1990年（平成2年）3月10日：無人駅化。
1995年（平成7年）9月：駅舎改築工事に着手。
1996年（平成8年）4月：駅舎改築。
2005年（平成17年）：美郷町商工会が駅業務を受託する簡易委託駅となる。
2018年（平成30年）4月1日：三江線の全線廃止に伴い、廃駅。

駅構造

粕淵駅は、浜原方面に向かって左側に単式ホーム1面1線を有する地上駅（停留所）でした。駅舎は美郷町商工会館との合築で、商工会の係員が出札業務を受託する簡易委託駅として機能していました（管理は浜田鉄道部が担当）。窓口は平日の日中のみ営業しており、自動券売機などは設置されていませんでした。ホーム上には待合室が設けられていました。

かつては島式ホーム1面2線を有する駅でしたが、片側の線路は撤去され、その路盤は現駅舎及び駅前駐車場の用地に転用されました。

利用状況

近年の1日平均乗車人員は、業務上の主要駅である隣の浜原駅よりも多い状況でした。参考までに、1994年度は103人、1984年度は184人でした。

駅周辺

粕淵駅は、三瓶山への最寄り駅として知られていました。

バス路線

駅前には「粕渕駅」停留所があり、以下の路線が発着していました。

石見交通
粕渕線：大田バスセンター、酒谷
大和観光
川本美郷線：石見川本、浜原駅、上野
美郷町営バス
* 粕淵竹線

かつては国鉄バスも発着していましたが、三江線廃止に伴うバス路線再編により粕淵都賀線は廃止されました。現在は石見交通粕淵線、美郷町営バス粕淵竹線、大和観光の川本美郷線が運行されています。

その他

三江線活性化協議会により、石見神楽の演目名にちなんだ「神武」という愛称が付けられていました。

隣の駅

西日本旅客鉄道（JR西日本）

三江線

明塚駅 - 粕淵駅 - 浜原駅

※かつて明塚駅と粕淵駅の間には、野井仮乗降場が存在しました。

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