紀北

紀北地域について

紀北（きほく）は、紀伊国の北部にあたる地域であり、現在の和歌山県と三重県の一部にまたがっています。この地域は紀北地方、紀北地域、紀北エリアなどさまざまな呼称で知られており、紀中や紀南とは対比される存在です。

紀北の歴史的背景

紀北という名称の使用は新しく、和歌山県での初出は1916年とされています。これ以降、大正時代に入ると、紀北という呼称が徐々に一般的に使われるようになりました。一方、三重県では古くからこの名称が使われた例があり、1897年には紀北商業銀行（現・百五銀行）が北牟婁郡長島村に設立されています。また、伊勢新聞でも、明治30年代後半には「北牟婁郡」という表現の代わりに「紀北」という名前が使われるようになりました。これらの名称の成立は、地域の歴史と密接に関わっています。

地理的特徴

紀北地域は、基本的に和歌山県と三重県それぞれにおいて、紀伊国の北部を指します。紀伊国はU字型をしており、紀北が位置する両県は隣接していても、奈良県吉野川に挟まれて物理的には接触していません。そのため、紀北という言葉は両県を総括するものではなく、それぞれの県における紀伊国の北部を指すものとなっています。

和歌山県の紀北

和歌山県における紀北は、北・中・南の3つのエリアに分かれることが一般的です。この場合、旧海草郡および和歌山市、那賀郡、伊都郡が含まれます。南北の2つの区分においては、旧有田郡や旧日高郡が追加されることもありますが、2005年以降、日高郡龍神村は田辺市の一部となったため、この地域は紀北から除外されます。特に狭義には、海南市や海草郡紀美野町を対象外とする場合もあり、中心都市である和歌山市は和歌山都心圏の重要な一部を成します。また、紀北のもとの区分は、上古における紀伊国の領域とも非常に一致しており、この地域は当時の熊野国に相当します。紀北に属する地域は紀ノ川流域に多く、紀南地域は強く熊野国の影響を受けていました。

三重県の紀北

三重県においては、紀北は南北に分割されることが多く、旧北牟婁郡が当てはまります。なお、1953年には南牟婁郡の一部が尾鷲市に組み込まれ、1957年には別の地区が紀勢町の一部となっています。現在の紀北地域は少々異なる範囲をもち、混同を避けるため紀北町とは別に「紀北地域」と称されることが一般的です。この地域は、1市1町で構成される紀北広域連合としても組織されています。三重県では、紀北は南部に位置しつつも、紀伊国における北東部という独自の地理的特徴を有します。

結論

このように、紀北は和歌山県と三重県にまたがる、歴史的かつ地理的に多様な顔を持つ地域です。地域ごとの文化や歴史の違いの中に、紀北という名称の変遷があり、現在も多くの人々によって認識され続けています。

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