経蔵

経蔵とは

経蔵（きょうぞう）は、仏教における重要な聖典である三蔵の一つで、釈迦の教えをまとめたものです。パーリ語では「スッタ・ピタカ」、サンスクリット語では「スートラ・ピタカ」と呼ばれます。経蔵は、釈迦の教えである経（スッタ、スートラ）を集めたもので、仏教の教義を理解する上で欠かせないものです。

経蔵の成立

釈迦の入滅後、仏教教団（僧伽）は、釈迦の教えや戒律を後世に伝えるために、500人の阿羅漢（悟りを開いた聖者）が集まり、結集（けつじゅう）という会議を開きました。この結集で、釈迦の教えが整理され、文書化されました。そして、仏教の聖典は、経蔵、律蔵、論蔵の三つに分類され、三蔵としてまとめられたのです。経蔵はこの三蔵の一つであり、釈迦の教えを直接的に記録したものです。

上座部仏教における経蔵

部派仏教の時代から、その形式を保っている上座部仏教（南伝仏教）では、パーリ語で書かれた『パーリ仏典』が用いられています。この『パーリ仏典』は、現在でも三蔵の形式を保っており、経蔵は「スッタ・ピタカ」として保存されています。

スッタ・ピタカの構成

スッタ・ピタカは、以下の5つの部に分かれています。

1. 長部（ディーガ・ニカーヤ）
2. 中部（マッジマ・ニカーヤ）
3. 相応部（サンユッタ・ニカーヤ）
4. 増支部（アングッタラ・ニカーヤ）
5. 小部（クッダカ・ニカーヤ）

このうち、小部を除く4部は、漢訳された仏典の『阿含経』に相当するとされています。これらの経典には、釈迦の教えが具体的に説かれており、仏教の基本的な考え方を理解する上で、非常に重要な資料です。

経蔵の重要性

経蔵は、仏教の教えの根本をなすものであり、仏教徒にとって最も重要な聖典の一つです。経典を読むことで、釈迦の教えを学び、仏教の思想を深く理解することができます。また、経蔵は、仏教の歴史や文化を研究する上でも、欠かせない資料となっています。

経蔵は、仏教の教えを後世に伝えるだけでなく、現代を生きる私たちにとっても、心の安らぎや智慧をもたらす、重要な存在です。

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