緑の書

『緑の書』とは

『緑の書』（グリーン・ブック）は、リビアの革命指導者ムアンマル・アル＝カッザーフィーが著した書物です。1975年に初版が発行され、彼の民主主義観と政治哲学が詳細に述べられています。毛沢東語録を参考に、第三世界における新たな政治体制のあり方を模索した内容となっています。

本の内容

本書は以下の三章で構成されています。

1. 民主制のもつ問題の解決: 「人民の権威」
2. 経済問題の解決: 「社会主義」
3. 世界第三理論（第三国際理論）の社会的基礎

カッザーフィーは、第三国際理論（第三普遍理論）を提唱し、リビアの政治体制の基礎としました。この理論は、イスラム社会主義とアラブ民族主義の影響を受け、資本主義と共産主義に代わる、第三世界のための新たな体制を提案するものです。その哲学的な基盤はコーランに依拠しています。

ジャマーヒリーヤ体制

カッザーフィーは、『緑の書』の中で、近代自由民主主義を否定し、全人民が参加する「人民会議」に基づいた「ジャマーヒリーヤ」という直接民主制を推奨しました。1977年には、この思想に基づいてリビア・アラブ共和国が廃止され、大リビア・アラブ社会主義人民ジャマーヒリーヤ国が成立しました。憲法、議会、政党、元首などは廃止され、人民代表による全国人民会議が政府の役割を担いました。

しかし、国外の反体制派は、人民会議が直接民主主義の場ではなく、軍事独裁の追認と人民抑圧の場になっていると批判しました。

日本語訳

日本語訳版も存在します。

ムアンマル・アル・カッザーフィ（著）『緑の書 : アル・キターブ・アル・アフダル』藤田進（訳）、第三書館、1980年9月1日。

関連事項

毛主席語録
アラブ社会主義
イスラム教社会主義
ジャマーヒリーヤ
ルーフナーマ
* 教化

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